賃貸物件にお住まいの皆さん、引っ越しの際の「退去費用」に不安を感じていませんか?
子供がいるご家庭では「うっかり壁に傷をつけてしまった」「子どもが床を汚してしまった」…こんな時、
「高額な修繕費用を請求されるかも」と心配になりますよね。
実は、そうした多くのケースで、「火災保険」を活用できる可能性があることをご存じでしょうか?
「え、火災保険って火事の時だけじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
しかし、その認識、実はもったいないんです!
火災保険は「家」の災難保険!意外な活用範囲とは?

多くの方が「火災保険=家が燃えた時の保険」と考えていますが、これは大きな誤解です。
正しくは「家の災難保険」と覚えるのがおすすめです。
火災保険の補償内容に「借家人賠償の特約」と「突発的な事故破損」が付帯していれば、以下のようなケースで活用できる可能性があります。
•引っ越しの際に壁に物をぶつけてクロスを傷つけてしまった
•目を離した隙に子供が壁に落書きしてしまった
•うっかり物を落として洗面台を壊してしまった
•家具を倒してクローゼットの扉を壊してしまった
•友人の事例では、子供がクローゼットを壊し、8万円の補償を受けられたケースもあります。
•自身の自宅の鍵を紛失し、鍵交換費用が火災保険でまかなえたケースも存在します(ただし、これは賃貸物件の大家さんへの保証とは別の話です)。
これらのケースは、大家さんから借りている部屋や設備に損害を与えてしまった時に、その費用を保険で負担してくれるというものです。
知っておきたい!火災保険の最大のメリット

火災保険を活用する上で、特に覚えておいてほしい大きなメリットが2つあります。
1.何回使っても保険料が上がらない!
自動車保険のように、保険を使うと翌年の保険料が上がる(等級が下がる)という心配は一切ありません。
だからこそ、使える時は積極的に使わないと損なのです。
2.管理会社や大家さんへの連絡は必須ではないケースも
火災保険の請求自体は、管理会社や大家さんに話を通す必要はありません。
ただし、実際に修復する際には業者を入れる必要があるため、その場合は管理会社や大家さんと相談が必要になることもあります。
要注意!安すぎる火災保険の落とし穴

ただし、全ての火災保険でこれらの損害がカバーされるわけではありません。
年間の保険料が4,000円程度の「格安プラン」の火災保険は、安価である一方で、過失による破損や借家人賠償の補償が付いていないケースが多いため注意が必要です。
しっかりと補償されるプランは年間7,000~8,000円程度と、格安プランよりも高めですが、いざという時の安心感が違います。
管理会社や仲介業者から勧められる保険の中には、「しっかり保証」以上の値段で内容が「格安プラン」以下というものもあるため、契約時には補償内容をしっかり確認しましょう。
また、自動車保険に付帯している「個人賠償責任特約」は、日常生活で他人や他人の物を傷つけてしまった場合に適用されるものであり、賃貸物件の大家さんに対する損害賠償責任には使えないことがほとんどなので注意してください。
実際に傷をつけてしまったら?保険金を受け取る流れ

万が一、賃貸物件に傷をつけてしまった場合、焦らず以下の手順で対応しましょう。
1.傷をつけてしまった箇所の写真を必ず残しておく
時間が経つと状況が分からなくなるため、すぐに撮影することが重要です。
2.保険証券を準備する
紛失していても再発行してもらえます。
3.保険会社に連絡する
この時、以下の情報を伝えるようにしましょう。
保険証券の番号・「借家人賠償をお願いしたい」という旨を伝える
ここが最重要ポイント!諦めないで申請を!

保険会社は、なるべく保険金を出したくないと考えることがあります。
そのため、窓口の担当者から「おそらく対象外となる可能性が高いです」と断られてしまうケースが非常に多いので注意が必要です。
しかし、窓口の担当者が最終的な判断を下すわけではありません。判断するのは「審査部」です。
ですので、窓口で断られても「請求するための申請書が欲しい」とはっきりと伝え、絶対に諦めずに申請書を提出してください。
実際に申請してみたら通ったという事例は非常に多いのです。
申請のタイミングも重要!

保険金の請求は、入居中に限られます。退去後では対象外となるため注意しましょう。
保険法上は3年前まで遡って申請できる可能性がありますが、その当時の写真などが残っている場合に限られます。
また、先に自分で修理してしまうと保険金が出ないケースも多いため、修理する前に必ず保険会社に申請しましょう。
退去立ち会い前までには申請しておくのが良いでしょう。
まとめ
賃貸物件の退去費用を巡る不安は、火災保険の適切な知識と活用によって大きく軽減できます。
もう一度、重要なポイントをおさらいしましょう。
•火災保険は「家」の災難保険であり、火事だけでなく「借家人賠償」や「突発的な事故破損」をカバーするプランがある。
•保険を使っても保険料は上がらないので、使える時は積極的に活用すべき。
•契約している保険の補償内容(特に「借家人賠償」や「破損」が付帯しているか)を必ず確認する。
•いざという時は、窓口で断られても「借家人賠償をお願いしたい」と伝え、諦めずに申請書を提出する。
•申請は入居中に行い、修理する前に保険会社に連絡する。
もし「あれ、あの時の傷もしかして保険が使えたかも…?」と思い当たることがあれば、一度ご自身の火災保険の契約内容を確認し、保険会社に問い合わせてみることを強くおすすめします。
この知識が、皆さんの賃貸生活をより安心で快適なものにする一助となれば幸いです。
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