ユダヤの知恵「タルムード」に学ぶ、心の豊かさの物語
■ 序章:金持ちの正体を見たくて

ある日、一人の青年が旅に出ました。
目的は、「本物の豊かさとは何か」を知るため。
彼は村で評判の“大金持ち”の老人が住んでいるという噂を聞きました。
「金持ちって、どんな暮らしをしているんだろう?」
「どんな宝石や家具に囲まれてるんだろう?」
青年の心は期待でふくらみます。
ようやく辿り着いたのは、小さな丘の上にある家。
扉をノックすると、中から出てきたのは…
なんと、くたびれた服を着た白髪の老人でした。
■ 出会い:豪邸じゃない?この人が金持ち?

中に案内された青年がまず目にしたのは――
壁にヒビの入った部屋、古びた木のテーブル、そして本が並んだ棚。
「えっ……ここが“金持ちの家”?」
目の前に広がるのは、青年が思い描いていた豪邸とは真逆の世界でした。
我慢できずに、青年は尋ねました。
「すみません、本当に…あなたが“大金持ち”なんですか?」
すると老人は、やさしい微笑みを浮かべて答えました。
■ 老人の言葉:もう、わしは“豊か”なんですよ

「ああ、そうかい。きっと、君は“豊かさ”をお金や物の量で測っているんだね」
青年はドキリとしました。
確かに、金持ち=立派な家・高価な服だと思っていたのです。
「私はね、持っているもので満足しているんだよ。
欲張らず、今に感謝して生きている。
それ以上に、どんな宝石が必要だい?」
■ 青年の気づき:心の中の“豊かさ”

その晩、青年は老人の家に泊まりました。
出されたのは、シンプルなスープとパン。
でも、老人はこう言って笑いました。
「パンがある。スープがある。
それを分け合える君がいる。
今日はなんて幸せな日だろうね」
青年の胸に、何か温かいものが流れこみました。
■ 翌朝:本物の豊かさを胸に

翌朝、青年は村をあとにしました。
空は青く、風はやさしく頬をなでます。
彼の心には、昨日とは違う静かな輝きがありました。
「本物の豊かさって、“足るを知る心”のことだったんだな」
■ 親子で考えたい問いかけ
- 君にとって“豊かさ”って何?
- 「もっともっとほしい」と思う心と、「もう十分」と思える心、どっちが幸せだろう?
- 今日はどんなことで「ありがとう」って言えそう?
■ まとめ:子どもに伝えたいメッセージ
「足るを知る」って本当に大事だよね
豊かさとは、持ち物ではなく“心のあり方”なんだよ。
「もう、十分」と思えたとき、人は本当に豊かになれるんだよ。あれも、これも欲しいっていう状態は渇望(かつぼう)の状態で
いつまでたっても満足できない状態なんだ
本当に自分に大切なものはすでに持っているということ
お金で大切なもの(家族・友人・恋人)は買えないって事
それに気づかなきゃ人間はいつまでも欲深い生き物だってこと
そこをわかるようになってほしいと願うお話なんだよ。
■ 次回予告
次回は、「比べないことの大切さ」を教えてくれる、ロバと犬のお話です。
お楽しみに!
コメント