※2026年10月10日更新:2026年分の所得税の改正(178万円)と、2026年10月の「106万円の壁」撤廃を反映しました。
「扶養内で働くなら、結局いくらまで稼いでいいの?」
——「年収の壁」は、2025年と2026年の2年続けて大きく変わりました。
2026年分からは、所得税がかかり始めるラインが178万円に上がりました。社会保険の「106万円の壁」は、2026年10月1日に撤廃されています。
この記事では、2026年10月時点の最新ルールをもとに、年収の壁の全体像と「損しない働き方」をやさしく整理します。
【2026年最新】年収の壁の全体像を一覧表で
まず、2026年分(2026年1〜12月の収入)の「年収の壁」を一覧にまとめました。大きく分けると「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類があり、性質がまったく違います。
ここを混同しているのが、多くの方の最大の誤解ポイントです。
| 年収の目安 | 壁の種類 | 超えると何が起きる? |
|---|---|---|
| 社会保険の壁(保険料) | 2026年10月に撤廃。今は年収ではなく「週20時間以上」などで加入が決まる | |
| 約110万円 | 住民税の壁(税金) | 住民税がかかり始める(超えた分に少し)。2026年分の収入からは少し上がる見込み |
| 130万円 | 社会保険の壁(保険料) | 配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入(手取りが大きく減る) |
| 169万円 | 配偶者特別控除(世帯の税金) | ここまで配偶者側の控除が満額。超えると段階的に減る |
| 178万円 | 所得税の壁(税金) | 所得税がかかり始める(超えた分に少し) |
| 約207万円 | 配偶者特別控除(世帯の税金) | 配偶者特別控除がゼロになる |
※給与収入だけの場合の目安です。所得税の178万円は、社会保険料控除などを考えない場合の金額です。
ポイントは、税金の壁は「超えても、超えた分にちょっと税金がかかるだけ」で、手取りが逆転することはほぼありません。
一方社会保険の壁は「超えると保険料がまとめて引かれ、手取りが一気に減る」ことがあります。怖いのは後者、というのが大前提です。それぞれ見ていきましょう。
税金の壁(住民税・所得税・配偶者特別控除)
税金の壁は、超えても痛手は小さいのが特徴です。なぜなら、税金は「壁を超えた分」にだけかかるからです。
たとえば壁を1万円超えても、いきなり何万円も引かれることはありません。まずは安心してください。
所得税の壁:103万円→160万円→178万円へ
長く「103万円の壁」と呼ばれてきた所得税のラインは、2025年分で160万円に、2026年分からは178万円に上がりました。
仕組みはこうです。所得税がかからない最低ラインは「基礎控除+給与所得控除」で決まります。
- 基礎控除(だれでも受けられる控除):最大104万円(本来の62万円に、2026年分・2027年分だけの上乗せ42万円)
- 給与所得控除(給与から自動で差し引かれる経費のようなもの)の最低額:74万円(本来の69万円に、2026年分・2027年分だけの上乗せ5万円)
この合計で、年収178万円までは所得税がかからないのが2026年分のラインです。基礎控除が104万円になるのは合計所得金額が489万円以下の人で、パートで働く方の多くは当てはまります。
ただし、この上乗せは2026年分・2027年分だけの特例です。2028年分以後は168万円(基礎控除99万円+給与所得控除69万円)になる予定です。
国税庁によると、この改正は2026年12月1日から適用され、2026年11月までの毎月の源泉徴収はこれまでどおりです。12月の年末調整でまとめて精算され、払いすぎた分が戻ってきます。
住民税の壁:おおむね110万円から(2026年分の収入からは少し上がる見込み)
住民税(自治体に納める税金)は、前の年の収入をもとに1年遅れでかかります。
2025年分の収入(2026年度の住民税)は、給与所得控除の最低額が65万円に上がった影響で、おおむね年収110万円あたりまでかからない方向になりました。
さらに2026年分の収入(2027年度の住民税)からは、住民税でも給与所得控除の最低額が74万円に上がるため、かからないラインはもう少し上がる見込みです。ただし住民税の基礎控除は今回引き上げられていないため、住民税は所得税より低い年収からかかり始めます。
非課税になるラインは自治体ごとに差があります。超えても金額はごくわずか(年数千円程度から)なので、働く量を抑える理由にはなりにくい壁です。正確なラインはお住まいの市区町村に確認してください。
配偶者特別控除:満額ラインが160万円→169万円に
配偶者特別控除とは、働く本人ではなく「夫(妻)側」の税金が安くなる仕組みです。
2026年分は、パートの方の年収(給与収入)が136万円以下なら「配偶者控除」、136万円超〜169万円以下なら「配偶者特別控除」の対象になり、どちらも夫(妻)側は満額の38万円の控除を受けられます(夫(妻)側の合計所得金額が900万円以下の場合)。
年収169万円を超えると控除額が段階的に減っていき、おおむね年収207万円を超えるとゼロになります。2025年分は満額のラインが160万円、ゼロになるラインが約201万円だったので、どちらも少し上がりました(給与所得控除の最低額が74万円に上がったためです)。
とはいえ、これも超えた分に応じてジワジワ減るだけなので、手取りが逆転するわけではありません。
ちなみに、扶養内で収入が少ない方は、ふるさと納税の節税メリットがほとんど出ないことが多いです。仕組みはふるさと納税のやり方の記事をご覧ください。
社会保険の壁(106万円・130万円)がいちばん大事
ここからが本丸です。社会保険(健康保険・厚生年金)の壁は、超えると保険料が給料から引かれて手取りが一気に下がることがあります。「働き損」が起きるのは、ほぼこの壁が原因です。
106万円の壁:2026年10月に撤廃。今は「週20時間」が基準
「106万円の壁」とは、パート先で自分が社会保険に加入することになるラインでした。日本年金機構によると、加入要件のうち「月の賃金8.8万円以上(年収にすると約106万円)」という要件は、2026年10月1日に撤廃されました。
いまは、次の要件をすべて満たすと、勤務先で社会保険に加入する対象になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生でないこと
- 勤務先の従業員数が51人以上
つまり今は、「年収いくらか」ではなく「週20時間以上働くかどうか」で加入が決まります。(最低賃金の減額特例を受けている方で月8.8万円未満の場合は、原則として対象外です。)
さらに「従業員51人以上」という企業規模の要件も、段階的になくなる予定です。2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月からは企業の規模に関係なく対象になります。勤め先の規模に関係なく、短時間でも社会保険に入る時代へ向かっていると覚えておきましょう。最新の適用状況は、必ず勤務先に確認してください。
130万円の壁:配偶者の扶養から外れるライン
勤務先で社会保険に加入しない方でも、年収130万円以上になると、配偶者の社会保険の扶養から外れて自分で加入することになります。
これが「130万円の壁」です。社会保険の扶養とは、保険料を払わずに配偶者の健康保険・年金に入れてもらえる仕組みのこと。ここを外れると、年間およそ20万円前後の保険料負担が新たに発生し、手取りが大きく減るゾーンに入ります。
この130万円の壁は、税制改正のあともそのまま残っています。
「所得税の壁が178万円に上がったから、もう壁は気にしなくていい」というのは誤解です。手取りに直結するのは、こちらの社会保険の壁のほうなのです。
なお、2026年4月1日からは、扶養に入れるかどうかを「労働契約の内容」で判定する取り扱いが始まりました。日本年金機構によると、労働条件通知書などに書かれた賃金から見込まれる年収が130万円未満であれば、扶養と認められる可能性があります。契約で決まっていない残業代は年収に含めないので、一時的な残業で扶養を外れにくくなりました。
この取り扱いは給与収入だけの方が対象です。また、実際の年収が大きく上回った場合は扶養から外れる可能性もあります。繁忙期の一時的な増収については、勤務先が証明する書類で扶養を続けられる仕組み(年収の壁・支援強化パッケージ)もあります。利用できるかは、加入している健康保険組合・勤務先に確認しましょう。
結局いくらまで働くのが得?ケース別の目安
「で、いくらまで働けばいいの?」に対する、2026年10月時点での考え方の目安です。あくまで一般論なので、ご自身の勤務先の条件に当てはめて考えてください。
- とにかく手取り重視で扶養を維持したい人:勤務先が従業員51人以上なら週20時間未満に抑えるのが、自分で社会保険に入らないための目安です(106万円という年収のラインはなくなりました)。そのうえで年収130万円未満に収めると、配偶者の扶養に入り続けられます。
- 少しでも世帯収入を増やしたい人:130万円の壁を中途半端に超えると、保険料で手取りが減る「働き損ゾーン」に入りがちです。
- 超えるなら一気に:年収150万円以上を目指すと、保険料を払っても手取りが上回りやすくなります。
- がっつり働きたい人:社会保険に加入すると、将来の年金が増え、病気やケガのときの保障も手厚くなるメリットがあります。「壁の中」にこだわらず働く選択も十分アリです。
いちばん避けたいのは、130万円を数万円だけ超えて社会保険料を負担し、かえって手取りが減ってしまうパターンです。「130万円の壁のすぐ上」が、いわゆる働き損ゾーンだと覚えておきましょう。
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学生の子どものバイトは「特定親族特別控除」もチェック
高校生・大学生のお子さんがアルバイトをしている家庭向けの話です。税金と社会保険でラインが違うので、両方を押さえておきましょう。
税金(親の控除):19歳以上23歳未満のお子さんは、2026年分は年収(給与収入)が136万円以下なら親が扶養控除(特定扶養控除63万円)を受けられます。136万円超〜159万円以下でも、「特定親族特別控除」で親は満額の63万円の控除を受けられます。159万円を超えると段階的に減り、197万円を超えるとゼロになります。
社会保険(親の健康保険の扶養):19歳以上23歳未満のお子さん(配偶者を除く)は、年収150万円未満なら親の健康保険の扶養に入れます。2025年10月から、130万円未満から引き上げられました。
つまり、先に来るのは社会保険の150万円です。税金は159万円まで満額でも、150万円以上になると親の健康保険の扶養から外れる点に注意してください。詳しい条件はお子さんの収入状況によって変わるため、年末調整や加入している健康保険組合で確認しましょう。
制度は毎年変わる。最新情報の確認方法
ここまで見てきたとおり、年収の壁は2025〜2026年で大きく動いています。所得税の178万円も2026年分・2027年分の特例で、2028年分以後は168万円になる予定です。「去年の常識」は通用しないと考えておくのが安全です。確認先の目安はこちらです。
- 所得税・基礎控除など税金のこと:国税庁の公式サイト、または最寄りの税務署
- 住民税のこと:お住まいの市区町村の窓口
- 社会保険の加入・扶養のこと:勤務先の担当者、または加入している健康保険組合・年金事務所
特に社会保険は、勤務先の規模や働き方で結論が変わります。迷ったら自己判断せず、勤務先や自治体に直接確認するのがいちばん確実です。
まとめ:2026年は「178万円」「130万円」「週20時間」を押さえよう
最後に要点を整理します。
- 税金の壁は超えても少額。所得税は2026年分から178万円(2028年分以後は168万円の予定)。住民税はおおむね110万円から。配偶者特別控除は169万円まで満額。
- 手取りに効くのは社会保険の壁。106万円の壁は2026年10月に撤廃され、今は週20時間以上かどうかで加入が決まる。一方130万円の壁は残る(2026年4月から労働契約の内容で判定)。
- 避けたいのは130万円を少しだけ超える「働き損ゾーン」。超えるなら年収150万円以上を目安に。
- 学生の子は、税金は159万円まで満額、社会保険の扶養は150万円未満。
制度は変わり続けます。この記事を入り口に、最後は必ず勤務先・自治体・国税庁など公式の情報で確認して、ご家庭に合った働き方を選んでくださいね。


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