あなたは、「家計簿をつけているのに、なかなかお金が貯まらない」あるいは「家計簿をつけるのが大変だ」と感じていませんか?
本記事では、単に支出を記録するだけでなく、資産を増やすための「いい家計簿」の考え方と、その具体的なカスタマイズ方法について解説します。
「いい家計簿」とは何か?

一般的に「いい家計簿」と聞くと、文字が読みやすい、美しく整理されている、といったイメージを持つかもしれません。
しかし、本当に「いい家計簿」とは、どれだけ時間や手間をかけて管理していても、その結果として資産が増えていなければ、「いい家計簿」とは言えません。
家計簿の2つのタイプ
家計簿には大きく分けて2種類あります。
1. テンプレート家計簿(テンプレ家計簿)
◦ 特徴: 雑誌やFP(ファイナンシャルプランナー)の相談などでよく見られるタイプで、住宅ローン、食費、通信費、交際費といった見慣れたシンプルな項目で構成されています。
◦ 利点: 項目名がシンプルで集計しやすく、誰が見ても内容を理解しやすいです。
◦ 欠点: 個人の価値観や管理目的が反映されにくく、単に支出を分類するだけになりがちです。
2. オリジナル家計簿
◦ 特徴: 項目名が独特で、他人にはすぐに理解できないような、自分専用にカスタマイズされた家計簿です。
◦ 利点: 貯める力が非常に高い人は、大抵この自分専用にカスタマイズされたオリジナル家計簿を持っています。
A君の「オリジナル家計簿」事例に学ぶ

A君(30代・共働き・子ども1人)の家計簿は、その典型例です。
彼は「マネーフォワードミー(MoneyForward Me)」という家計管理アプリを使っており、以下のように支出を大きく4つの項目に分類していました。
• 住宅(固定費全般): 11万3,303円
◦ A君は「食」「住」を基本的な生活費と考え、水道光熱費や固定資産税、火災保険料、通信費、Amazonプライム代といった生活インフラに関わる固定費を全て「住宅費」として集計しています。これは、家だけがあってもインフラがなければ機能しないという考えに基づいています。
◦ この分類により、固定費を正確に把握できるようになり、携帯料金や保険料の見直し、コスパの悪いサブスクの解約などで月約10万円まで固定費を削減しました。
◦ 最終的なゴールは、この生活インフラ費を不労所得(配当金や運用益)で賄えるようになることです。例えば、月10万円(年間120万円)を賄うには、高配当株やインデックスファンドで3000万円程度の資産があれば可能と試算しています。
例えば、年間120万円を配当金で得るには、利回り4%と仮定して約3,000万円の資産が必要です(※投資はリスクを伴います)。
• 食費: 3万6,000円
◦ 購入した品目ではなく、「どこで買ったか」だけを管理しています(例: コンビニ、スーパー、外食)。
◦ これにより、割高なコンビニや外食の利用を減らす意識が働き、食費を月2万円~3万円節約できるようになりました。
• 日用品: 4万300円
◦ 「衣」の費用がメインで、衣類、靴、カバン、コンタクト、メガネ代、化粧品、洗剤、シャンプーなど、外見を清潔に保つためのお金が集計されます。
◦ また、一食住に関係ない項目もここに集計され、「その他」の役割も持ちます。
• 交際費(贅沢費・プラスアルファの支出): 5万2,450円
◦ 必要最低限の生活費とは異なり、あれば嬉しいがなくても生活できる「贅沢」な支出と位置付けています。
◦ 夫のお小遣いや家族旅行、冠婚葬祭、プレゼント費用などが含まれます。
A君の家計簿の背景には、以下の明確な管理目的があります。
• 必要最低限の生活費と「遊ぶお金」を分けて管理したい。
• 固定費と変動費を分けて管理したい。
• 夫婦でお互いの使い方を細かく管理し合いたくない。
彼は、固定費を不労所得で、変動費(食費や日用品費)は国民年金で賄えるようにする、という将来設計を持っており、これらを実現するために家計簿を活用しています。
「いい家計簿」の5つの条件

A君の例を踏まえて、「いい家計簿」には以下の5つの条件があります。
1. 管理目的が明確である
◦ ただ集計するだけでなく、「年間100万円貯めたい」「経済的自由に到達したい」など、何のために家計簿をつけているのかという目的があることが重要です。
2. 抜け漏れがない
◦ 現金やスマホ決済、配偶者が使った分など、全ての支出が正確にカウントされていること。
抜け漏れがあると、家計簿をつける意味が薄れてしまいます。
3. 見ているとテンションが上がる
◦ 固定費の削減や貯金額の増加など、成果が見えることでモチベーションが維持できる家計簿であること。
綺麗に記入したり、最新アプリを使いこなしたりと、自分にとって快感となる方法が大切です。
4. 作るのに時間がかからない
◦ 家計簿の価値は、出来上がった数字にあるため、作成作業そのものに時間をかけすぎないこと。
マネーフォワードミーのような自動集計アプリを活用し、ITの力を活用することが推奨されます。
5. 改善点を人に説明できる
◦ 家計簿の数字から、「どこに問題があり、次回までにどう改善するか」を明確に特定し、説明できること。
集計と改善を繰り返すことで資産が増えるサイクルが生まれます。
マネーフォワードミーのカスタマイズ方法

「マネーフォワードミー」のような家計簿アプリを使えば、上記の「いい家計簿」を簡単に作成できます。
1. アプリのダウンロードと口座連携: 銀行やクレジットカードを連携させると、支出が自動で集計されます。
2. オリジナル項目の作成:
◦ 初期設定の項目(テンプレート家計簿の項目)は18項目ありますが、これらをそのまま使うのではなく、自分に必要な大項目を数個選び出します。A君は「日用品」「食費」「住宅」「交際費」の4つを選びました。
◦ 各大項目の下に、「カテゴリ追加」機能を使って自分だけの「中項目」を作成します。例えば「住宅」の下に「水道光熱費」や「その他年払いコスト」など。
3. 支出の紐付けと訂正:
◦ マネーフォワードミーが自動で誤った項目に分類した場合は、手動で訂正します。一度訂正すれば、次回からは似た支出が自動で正しく分類されるようになります。
◦ 過去の家計簿のカテゴリも「カテゴリー一括変更」でまとめて組み替えが可能です。
簿記・会計の視点から見た家計簿

会社経営における「財務会計」と「管理会計」の考え方は、家計簿にも当てはまります。
• 財務会計: 銀行や投資家など外部の人が見やすいように、統一されたルールで作成される会計。テンプレート家計簿に相当します。
• 管理会計: 社長など会社内部の人が経営に役立てるために、独自にカスタマイズされた会計。オリジナル家計簿に相当します。
強い企業ほど管理会計に力を入れています。初心者にとってはテンプレート家計簿も有用ですが、さらに一歩進むには、管理会計の視点を取り入れ、自分に合ったオリジナル家計簿の世界に踏み出すのがおすすめです。
まとめ

資産が増える家計簿とは、単に記録するだけでなく、明確な目的を持ち、自分に最適化された家計管理システムです。
マネーフォワードミーなどのアプリを活用し、「管理目的を明確にし、抜け漏れなく、見ていてテンションが上がり、作るのに時間がかからず、改善点を説明できる」ような自分だけの家計簿を作ることで、月3万円以上の貯金アップも夢ではありません。
今日が人生で一番若い日です。ぜひこの機会に、あなたにぴったりの家計簿を作成し、資産を増やす楽しい家計管理を始めてみましょう

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