「上の子は慎重で、下の子は要領がいい」。きょうだいの「あるある」は、ママ友との会話でもつい盛り上がりますよね。
性格の話はよく聞きますが、じつは「かかりやすい病気」にも、上の子と下の子でちがいがあるかもしれない。そんな研究が2026年に発表されました。調べたのは、なんとアメリカのきょうだい約1,000万人です。
たとえば食物アレルギーは、上の子のほうが多い傾向がありました。ぜんそくや、花粉症などのアレルギー性鼻炎も同じです。
「えっ、うちもそうかも」と思った人も、「うちは逆だけど?」と思った人もいるはずです。ただ、この研究は読み方をまちがえると、よけいな心配のもとになります。わかったことと、わかっていないことを分けて見ていきましょう。
どんな研究?
- だれが:アメリカのシカゴ大学とコロンビア大学の研究チーム
- 何を調べた:子どもが2人いる約510万家族(子ども約1,000万人)の、医療保険の記録
- どう比べた:同じ家庭の上の子と下の子どうし、さらに別の家庭の1人目と2人目どうしの両方で比べた
- 結果:調べた418の病気のうち、150の病気が生まれた順番と関係していた(上の子に多いのが79、下の子に多いのが71)
同じ家庭のきょうだいどうしで比べているのがポイントです。同じ家、同じ親、同じ食事で育っていても、生まれた順番でちがいが出た、ということになります。結果は2026年8月、医学雑誌『ネイチャー・ヘルス』に載りました。
上の子に多かったもの・下の子に多かったもの
| 上の子(1人目)に多かった | 下の子(2人目)に多かった |
|---|---|
| ・食物アレルギー、ぜんそく、アレルギー性鼻炎 ・ADHD、自閉スペクトラム症、チック(トゥレット症候群)、強迫性障害 ・不安、うつ ・にきび | ・片頭痛 ・胃炎などのおなかの不調 ・帯状疱疹(たいじょうほうしん) ・腎臓の感染症 ・アルコールなどの依存症 |
ざっくり言うと、上の子は「アレルギー」と「発達・心」の診断が、下の子は「おなか」や「頭痛」などが多めでした。
もうひとつ興味深いのが、きょうだいの年の差です。年の差が小さいほど、上の子の発達や心に関する診断、そしてきょうだい両方のアレルギーやぜんそくなど、いくつかの病気が少なめでした。
とはいえ、きょうだいの年の差は、思いどおりに決められるものではありません。年の差が大きい家庭が、気に病む必要はまったくありません。あくまで、大勢を平均したときの「傾向」です。
なんで? 生まれた順番で、なぜちがいが出るの?
じつは、理由はまだわかっていません。研究者が考えている仮説は、次のようなものです。
仮説① きょうだいで「おなかの細菌」をやりとりしている
研究チームがいちばん有力と考えているのが、これです。人の体には、おなかを中心にたくさんの細菌がすんでいます(腸内細菌)。きょうだいがいっしょに遊び、同じおもちゃをなめ、同じ部屋で過ごすうちに、細菌がやりとりされます。
ここで関係するのが「衛生仮説」という考え方です。小さいころにいろいろな細菌にふれると、体を守るしくみ(免疫)がきたえられて、アレルギーが起きにくくなるという説です。下の子は、生まれたときから上の子という「細菌の運び屋」がそばにいます。年の差が小さいと、上の子も下の子の細菌にふれやすくなる。年の差が小さいほうがアレルギーが少なかったことと、話が合います。
仮説② 親の関わり方や、病院に行くタイミングのちがい
1人目の子育ては、何もかもが初めてです。ちょっとしたことでも心配になって、病院に連れて行くことが多いかもしれません。2人目になると「これくらいなら大丈夫」と判断できるようになります。この研究は「病院で診断された記録」を数えているので、こうした受診のしかたのちがいが、数字に表れている可能性もあります。
1人目のとき、ちょっとした発疹や夜中のせきで、あわてて病院に駆けこんだことはありませんか。それは心配性だったのではなく、初めての子育てを、一生けんめいがんばっていた証拠です。
仮説③ 1回目と2回目の妊娠で、体のようすがちがう
お母さんの体は、1回目の妊娠と2回目の妊娠で変わる部分があります。それが、おなかの中の赤ちゃんに影響しているのでは、という考え方です。
研究をまとめたシカゴ大学のアンドレイ・ルジェツキー教授は、「生まれた順番のせいで人が病気になるわけではない。どの病気に先に当たりやすいかが変わるだけ」と話しています。
心配しすぎなくて大丈夫な理由
「うちの上の子、アレルギーが心配……」と思った人もいるかもしれません。でも、この研究には大事な注意点があります。
- ちがいは小さい:研究者自身が「ひとりひとりで見れば、ちがいはわずか」と言っています
- 「関係がある」だけで「原因」ではない:上の子だから病気になる、という意味ではありません
- 病気のなりやすさを決めるものは、ほかにもたくさんある:生まれた順番は、そのうちのひとつにすぎません
- アメリカの保険の記録:日本でも同じ結果になるかは、まだわかりません(研究チームは、ほかの国でも確かめる予定です)
そもそも、生まれた順番は変えられません。「知っておくと、ちょっと気づきやすくなる」くらいの気持ちで受け止めれば十分です。
上の子にアレルギーや発達の特性があると、「妊娠中の過ごし方が悪かった?」「私の育て方のせい?」と、自分を責めてしまう人もいるかもしれません。でもこの研究は、生まれた順番という、親にはどうしようもないことでもちがいが出ることを示しています。子どもの体質や特性は、親の育て方だけで決まるものではありません。
わが家で活かすなら
仕事と家事に追われる毎日で、子どもの体の変化に全部気を配るのは、正直むずかしいですよね。だからこそ、「上の子はここ、下の子はここ」と、見るポイントを少しだけしぼっておくのがおすすめです。
- 上の子:新しい食べ物を食べたあとの肌や口のまわりの様子、季節の変わり目のせきや鼻水を、少しだけ気にかけておく
- 下の子:「おなかが痛い」「頭が痛い」を、「またか」で流さずに聞いてあげる
- かかりつけ医には、きょうだいそろって:家族全体のようすを知っているお医者さんなら、ちょっとした変化にも気づいてもらいやすくなります。研究者も、上の子と下の子で注意して見るポイントを変えられるかもしれないと話しています
そして何より、「お姉ちゃんだから」「下の子だから」と決めつけないこと。研究は大勢の平均の話で、目の前のわが子は、ひとりひとりちがいます。きょうだいのかかわり方についてはきょうだいゲンカの仲裁はしないほうがいい?も参考にどうぞ。
ママ友に話すなら、この一言
「きょうだい1,000万人を調べたら、上の子はアレルギー、下の子はおなかや頭痛が多めだったんだって。でも、理由はまだわからないし、差は小さいんだって」
最後の「でも」まで言うのがポイントです。そうすれば、ただの「へぇ〜」で終わらず、相手を不安にさせることもありません。
まとめ
- アメリカのきょうだい約1,000万人を調べた研究で、150の病気が生まれた順番と関係していた
- 上の子はアレルギーや発達・心の診断、下の子はおなかの不調や片頭痛などが多め
- 年の差が小さいほど、いくつかの病気が少ない傾向。理由の仮説はきょうだいの間の細菌のやりとりなど
- ちがいは小さく、原因もまだ不明。心配するより「気づくヒント」に
上の子と下の子、同じように育てているつもりでも、ちがいが出るのは当たり前のこと。そのちがいに少し気づけるようになるだけで、毎日の見守りがちょっとラクになるはずです。
※参考:Kramerほか(2026)「生まれた順番と病気のリスク」ネイチャー・ヘルス誌、シカゴ大学のニュースリリース(2026年10月)、各社報道。病気の診断や治療については、必ずかかりつけ医に相談してください。
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