動画を止めると大泣きする。待ち時間にスマホを渡さないと、じっとしていられない。アニメは早送りしないと見ていられない。最近話題の「ドパガキ」という言葉を聞いて、「うちの子、もしかして……」とドキッとしていませんか。
でも、ドパガキは生まれつきの性格ではなく、毎日の習慣でつくられる状態です。だから、習慣を変えれば戻せます。
先に結論です。
- ドパガキ=ショート動画などの強い刺激に慣れて、退屈をがまんできなくなった状態
- まずいのは、睡眠・遊び・家族との時間より動画が優先になり、やめさせると激しく荒れるとき
- 改善のカギは、「すぐスマホ」をやめて、退屈する時間を少しずつ取り戻すこと
ドパガキとは?
「ドーパミン中毒のガキ(子ども)」を縮めたネットスラングです。ドーパミンは、脳の中で「楽しい」「もっとほしい」という気持ちにかかわるといわれる物質です。
ショート動画、SNS、スマホゲームのように、手軽で刺激の強いものを次々に求め、少しの退屈もがまんできない。そんな状態を指します。
- 始まり:2024年末、X(旧ツイッター)のある投稿で使われたのがきっかけ
- 流行:2026年に一気に広まり、8月には1か月で約30万件も投稿された。ネット流行語大賞2026上半期で6位
- 注意:医学用語や病名ではない。若い人が「自分、ドパガキすぎる」と自分をネタにして使うことが多い
うちの子は大丈夫?チェックリスト
年長さん〜小学生によくある様子を集めました。当てはまるものに☑をつけてみてください。
見かた
- ☐ 動画やアニメを早送り・倍速で見たがる
- ☐ 1本を最後まで見ずに、次々に動画を切りかえる
- ☐ 「あと1本」が何本も続く
- ☐ 30分のアニメや映画を最後まで見られなくなった
待てない・退屈できない
- ☐ お店や病院の待ち時間に、スマホがないと騒ぐ
- ☐ ちょっとでもひまになると、「つまんない」「スマホ貸して」と言う
- ☐ ごはん中も、動画がないと食べるのに集中できない
ほかのことへの興味
- ☐ 絵本・ブロック・お絵かきなど、前は好きだった遊びをしなくなった
- ☐ 本や長い説明を、すぐ「めんどくさい」とやめる
- ☐ 外遊びや友だちとの遊びより、動画を選ぶ
当てはまった数の目安
| ☑の数 | 目安 | どうする? |
|---|---|---|
| 0〜3個 | よくある範囲 | 今の習慣を続けつつ、下の「親の習慣」を確認 |
| 4〜6個 | ドパガキ化が始まっているかも | 「改善の5つのコツ」から1つずつ始める |
| 7個以上 | 動画中心の生活になりかけている | 家族でルールを決め直す。次の「要注意サイン」も確認 |
※医学的な診断ではなく、家庭で見直すきっかけにするための目安です。
こうなっていたら要注意
動画が好きなこと自体は、悪いことではありません。気をつけたいのは、生活がくずれ始めているときです。
参考になるのが、世界保健機関(WHO)が病気として認めた「ゲーム障害」の考え方です。ポイントは次の3つです。
| サイン | 子どもの様子の例 |
|---|---|
| ① 自分で止められない | 約束の時間を毎回守れない。取り上げると、物を投げる・たたくほど荒れる |
| ② ほかのことより優先する | 寝る時間を削って見る。ごはん・宿題・友だちとの約束より動画 |
| ③ 困ったことが起きても続ける | 朝起きられない、学校で眠い、成績が下がった。それでもやめられない |
WHOの基準では、こうした状態が長い期間(原則1年ほど)続き、生活に大きな支障が出ていることが目安とされています。1日や2日、動画を見すぎた日があっても心配しすぎなくて大丈夫です。
ドパガキにしてしまう親の習慣
忙しい毎日、スマホに助けられる場面はたくさんありますよね。それ自体を責める必要はありません。ただ、次の習慣が重なると、子どもは「退屈=スマホ」と覚えてしまいます。
| やりがちな習慣 | なぜよくない? |
|---|---|
| 待ち時間にすぐスマホを渡す | 「ひま」を自分でうめる力が育たない |
| ごはん中に動画を見せる | 食べること・話すことに集中できなくなる |
| 寝る前に動画を見せる | 寝つきが悪くなり、睡眠が削られる |
| ショート動画を自由にスクロールさせている | 終わりがないので、自分で止めるきっかけがない |
| ぐずったらスマホでなだめる | 「泣けばスマホがもらえる」と覚える |
| ごほうびにスマホ時間をあげる | スマホが「いちばんの楽しみ」になる |
| 親もずっとスマホを見ている | 子どもは、言われたことより親の姿をまねする |
「全部やってる……」と落ちこまなくて大丈夫です。全部を一度にやめる必要はありません。
どうやって改善する?5つのコツ
① 「すぐスマホ」を、まず5分がまんする
待ち時間にいきなりスマホを渡さず、最初の5分だけしりとりや「〇〇さがし」をしてみてください。退屈な時間を少しずつ過ごせるようになると、自分で遊びを見つける力が戻ってきます。かばんに小さな絵本・ぬりえ・折り紙を入れておくと助かります。
② ショート動画より「終わりのあるもの」を
同じ動画でも、次々に流れてくるショート動画より、1話で終わるアニメのほうが「ここでおしまい」を作りやすくなります。動画アプリの自動再生はオフにしておきましょう。
③ 「見ない時間と場所」を決める
- ごはん中は見ない
- 寝る1時間前からは見ない
- 見るのはリビングだけ(寝室やお風呂に持ちこまない)
「1日何分まで」より、場面で決めるほうが守りやすいのがポイントです。小学生でタブレットやスマホを持っているなら、Googleファミリーリンクの設定方法で時間や時間帯の制限もできます。
④ 取り上げるより「予告して、次の楽しみへ」
いきなり取り上げると、子どもは強く反発します。
- 5分前に予告:「あと5分でおしまいね」(タイマーを子どもに押してもらう)
- 自分で止める:止めるボタンは子どもに押させる
- 次の楽しみへ:「止めたら一緒にお風呂で〇〇しよう」
⑤ 親も「ながらスマホ」を減らす
子どもにだけ「スマホやめなさい」と言っても、なかなか届きません。ごはん中や子どもと話すときは、親もスマホを伏せて置く。それだけで、家の空気が変わります。じつは「ショート動画を思ったより長く見てしまう」大人は、40代で36.5%、50代で39.6%という調査もあり、親のほうがドパガキということも少なくありません。
年長と小3で、ここがちがう
| 年長さん | 小学3年生 | |
|---|---|---|
| 決め方 | 親が決めて、わかりやすく伝える | 子どもと一緒にルールを決める |
| 伝え方 | 「時計の長い針が6になったらおしまい」 | 「見たあとに宿題、それとも宿題のあと?」と選ばせる |
| 代わりの遊び | ブロック、お絵かき、外遊びを親と一緒に | 本、工作、習いごと、友だちとの遊び |
| 気をつけたい点 | ぐずったときにスマホでなだめない | 友だちとのやりとりや動画アプリの使いすぎ |
それでもやめられないときは
家庭でルールを変えても、「要注意サイン」が続いて生活に大きな支障が出ているときは、ひとりで抱えこまずに相談してください。
- かかりつけの小児科
- 学校の担任の先生・スクールカウンセラー
- 地域の子育て相談窓口や保健センター
よくある質問
Q. もうたくさん見せてしまった。手遅れ?
手遅れではありません。ドパガキは習慣でつくられる状態なので、習慣を変えれば戻せます。最初の1〜2週間は「つまんない!」と言われますが、そこを越えると、自分で遊びを見つけ始める子が多いです。
Q. スマホや動画は全部禁止したほうがいい?
全部禁止する必要はありません。いきなり禁止すると反発が大きく、親も続きません。「見ない場面」を決めて、終わりのあるものを選ぶ。それだけでも十分な一歩です。
まとめ
- ドパガキとは?:強い刺激に慣れて、退屈をがまんできなくなった状態。2026年に流行したネットスラング
- うちの子は?:倍速・次々切りかえ・待てない・前の遊びをしない。☑が4個以上なら見直しどき
- 要注意は?:止められない・睡眠より優先・困っても続ける。この状態が長く続くとき
- どう改善する?:すぐスマホをやめて5分がまん、終わりのある動画、見ない場面を決める、予告して切りかえ、親もながらスマホを減らす
動画を見せ続けることで失いやすい力については、ドイツが「13歳未満はSNS禁止」へでも紹介しています。まずは今日、待ち時間の最初の5分を、スマホなしで過ごしてみませんか。
※参考:withnews(朝日新聞)「流行語『ドパガキ』どう広がった?」(2026年10月2日)、Business Insider Japan(2026年8月20日、マイナビの調査)、世界保健機関(WHO)国際疾病分類ICD-11「ゲーム障害」。「ドパガキ」は医学用語・診断名ではありません。
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