東京都で、5歳未満の子どもがインフルエンザ脳症で亡くなりました。今年はインフルエンザの流行が早く、「インフルエンザ脳症って何?」「うちの子は大丈夫?」と気になっているママも多いと思います。
結論:ほとんどの子はインフルエンザにかかっても脳症にはなりません。ただし、2〜12歳に多い病気なので、熱が出てからのサインだけは知っておきましょう。
▶ 何が起きてる? ▶ どうしてなる? ▶ どれくらいの確率? ▶ どう見分ける?
いま何が起きてる?
東京都は10月22日、インフルエンザ脳症で5歳未満の子ども1人が亡くなったと発表しました。都内では8月以降、インフルエンザ脳症の患者が3人確認されています。
今シーズンはインフルエンザの流行が去年より1か月以上早く始まり、東京都では9月上旬に注意報の目安を超えました。宮城県でも、去年の秋から冬に少なくとも13人の子どもが脳症と診断され、3人が亡くなっていたと報じられています。
流行が早いぶん、インフルエンザにかかる子が増える時期も早まっています。だからこそ、今のうちに知っておきたい病気です。
どうしてなるの?
インフルエンザ脳症は、ウイルスと戦う体の仕組み(免疫)が働きすぎてしまうことで起きます。炎症を起こす物質(サイトカイン)が体の中で急にたくさん作られ、脳がむくんだり、強い炎症が起きたりします。
- 熱が出てから数時間〜1日ほどで、意識がおかしい・けいれん・おかしな言動が出ることが多い
- 熱が出て3〜5日たってから症状が出るタイプもある
- なぜ一部の子だけがなるのかは、まだはっきりわかっていません。日本など東アジアからの報告が多い病気です
つまり、育て方や看病のしかたのせいでなる病気ではありません。ただし、悪化させないために気をつけたいことが1つあります。それは解熱剤の種類です。子どもの解熱剤はアセトアミノフェンが使われます。アスピリン、ジクロフェナク、メフェナム酸を含む薬は、インフルエンザの子どもには使いません。大人用の市販薬を子どもに飲ませないようにしましょう。
どれくらいの確率でなる?
| シーズン | インフルエンザ脳症の届け出 |
|---|---|
| 2023/24 | 189例(届出時点で死亡は約5%) |
| 2024/25 | 182例 |
| 2025/26 | 12月10日までに88例(うち死亡10例) |
2024/25シーズンにインフルエンザで病院にかかった人は、推計で約1,037万人。脳症の届け出は182例なので、ざっくり計算すると約6万人に1人です。
まれな病気ですが、ゼロではありません。そして、届け出が多い年齢は2〜12歳、年齢の真ん中(中央値)は7〜8歳です。年長さんや小学生は、まさにこの年齢にあたります。
いったんなると重い病気で、後遺症が残る子は約4人に1人という報告もあります(2009年のガイドライン)。だから「確率は低いけれど、サインは知っておく」が正解です。
※届け出数は国立健康危機管理研究機構のまとめ。受診者数は2024年9月〜2025年4月上旬の推計なので、確率はおおよその目安です。
どう見分ける?
脳症のサインは「意識がおかしい」「けいれん」「おかしな言動」の3つです。いちばん大切なのは意識です。

| 子どもの様子 | どうする |
|---|---|
| けいれんが5分以上続く、くり返す | 119番 |
| 呼びかけても反応が弱い・目を覚まさない。けいれんが止まっても意識が戻らない | 119番 |
| 親がわからない、ないものが見える、意味のわからないことを言う。それが続く・だんだん悪くなる | すぐ受診(夜間なら救急外来) |
| おかしな言動が短い時間でおさまり、そのあと普段どおり話せる | 様子を見ながら、かかりつけ医か#8000に相談 |
「熱でうなされているだけ」との違い
高い熱のとき、寝ぼけたり、こわい夢でおびえたりするのはよくあることです(熱せん妄)。見分けるポイントは「続く時間」と「おさまったあとの様子」です。
| 様子を見てよいことが多い | すぐ受診 | |
|---|---|---|
| 続く時間 | 数分でおさまる | 1時間ほど続く・何度もくり返す |
| おさまったあと | 名前を呼ぶと答える。いつもどおり話せる | ぼんやりしている。反応が弱い |
| けいれん | なし | あり(短くても受診) |
脳症の始まりに見られた言動の例
- 親がわからない。いない人がいると言う
- 自分の手をかむなど、食べ物とそうでない物の区別がつかない
- アニメのキャラクターや動物が見えると言う
- 意味のわからない言葉を話す。ろれつが回らない
- ひどくおびえる。急に怒る・泣く・大声で歌う
こうした様子があれば、スマホで動画を撮っておくと医師に伝わりやすくなります。迷ったら#8000(こども医療電話相談)、意識がおかしいと感じたら迷わず119番です。
熱が出たら、家でできること
- ☐ 熱が出てから少なくとも2日間は、子どもを一人にしない
- ☐ 玄関とすべての窓に鍵をかける。一戸建てならできるだけ1階で寝かせる
- ☐ 解熱剤は病院で出されたものを使う
- ☐ 熱・けいれん・言動を、時刻と一緒にメモする
- ☐ #8000と近くの夜間救急の番号をスマホに入れておく
- ☐ 共働きなら、2日間だれが付き添うかを夫婦で決めておく
おかしな行動は、薬を飲んでいてもいなくても起こることがあります。「薬を飲んでいないから大丈夫」ではありません。
仕事を休むときの連絡のしかたや使える休暇は、子どもの発熱で仕事を休むときにまとめています。
予防:まずインフルエンザにかからない
- ワクチン:厚生労働省は12月中旬までに接種を終えるのが望ましいとしています。13歳未満は原則2回。鼻にスプレーするワクチン(2歳〜18歳、1回)もあります
- 手洗い・換気:家族がかかったら、タオルを分けてこまめに換気
- 早めの受診:高い熱が続く、呼吸が苦しい、意識がおかしいときは早めに受診
よくある質問
熱性けいれんとどう違うの?
いちばんの違いは、けいれんのあとに意識が戻るかです。数分で止まり、そのあと呼びかけに答えるなら熱性けいれんのことが多いですが、インフルエンザのときは短いけいれんでも受診してください。
きょうだいにもうつりますか?
脳症そのものはうつりませんが、インフルエンザはうつります。きょうだいが続けてかかることもあるので、家族全員の様子を見ておきましょう。
大人もなりますか?
なります。届け出の多くは子どもですが、大人の報告も毎年あります。
まとめ
「わが子の命は、自分の命より大切」という親御さんも多いと思います。
わが子のためにも、今起きていることを知っておきましょう。
- 何が起きてる?:流行が1か月以上早く、東京都で5歳未満の子が脳症で亡くなった
- どうしてなる?:免疫が働きすぎて脳に炎症が起きる。なぜ一部の子だけかは不明
- 確率は?:約6万人に1人。ただし2〜12歳に多い
- 見分け方:意識・けいれん・おかしな言動。5分以上のけいれんや反応がないときは119番
出典:国立健康危機管理研究機構「2023/2024シーズンのインフルエンザ脳症報告例のまとめ」、同「インフルエンザ 2024/25シーズン」、同「IDWR 2025年第49号 インフルエンザ」、厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」、厚生労働省研究班「インフルエンザ脳症ガイドライン【改訂版】」、東京都の発表(2026年10月22日、読売新聞)、NHKニュース(2026年10月21日)
※この記事は一般的な情報です。お子さんの症状については、医師の判断にしたがってください。

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