「これもう食べちゃダメ!」って言われたこと、ある?
冷蔵庫の中のおにく、パン、ごはん――
見た目が変だったり、においがしたりして、
「これは腐ってるから、もう食べられないよ」
って言われたこと、ない?
でも……なんで食べ物って腐っちゃうの?
そして、おみそやヨーグルトは「くさった」って言わないのは、どうしてだと思う?
今日はその「ひみつ」をいっしょに見てみよう!
食べ物が腐るってどういうこと?
食べ物が腐ると、こうなるよね。
- へんなにおいがする
- 色がかわる
- ベタベタ、ヌルヌルになる
- カビが生える
これは、食べ物の中に“菌(きん)”がふえてしまったからなんだ!
菌(きん)ってなに?
菌(きん)っていうのは、目に見えないくらい小さな生きもの。
空気の中や手、机の上、どこにでもいるんだよ。
どのくらい小さいかというと、1ミリの中に1000個くらい並んでしまうくらい。だから目では絶対に見えないんだ。
この菌は、食べ物を見つけるとそれをごはんにして、どんどん数をふやしていく。1個が2個、2個が4個、4個が8個……と、あっという間にふえていくよ。
そのとき菌は、食べ物をバラバラにこわしながら、においのもとになるものを出していく。だから――
においが変わったり、見た目が変になっちゃう!
これが「腐る」ってことなんだ。
菌がふえるのに必要な「3つのもの」
じつは菌は、いつでもどこでもふえられるわけじゃないんだ。ふえるには、この3つがそろう必要があるよ。
| 必要なもの | どういうこと? |
|---|---|
| ①栄養(えいよう) | 菌にとって、食べ物そのものがごちそう |
| ②水(みず) | 水がないと菌は活動できない |
| ③あたたかさ | だいたい20〜40℃くらいがいちばん元気 |
ここがポイント。この3つのうち、どれか1つでも取りあげれば、菌はふえにくくなるんだ。
冷蔵庫に入れるのは「③あたたかさ」をうばう作戦。おせんべいやかんぶつがなかなか腐らないのは「②水」がないから。この作戦の話は、あとでもう一度出てくるよ。
そして夏に食べ物が傷みやすいのも、これで説明がつくよね。夏はずっと「③あたたかさ」がそろっているから、菌にとっては最高の季節なんだ。夏のお弁当が心配なときの工夫は夏休みの学童のお弁当を乗り切る記事にまとめてあるよ。
「腐る」と「発酵」は、じつは同じこと?
ここからが、この話でいちばんおもしろいところ。
おみそ、しょうゆ、ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、パン、チーズ。
これ、ぜんぶ菌が食べ物をかえて作ったものなんだ。
「菌が食べ物をかえる」って、腐るのとまったく同じことをしているよね。じゃあ、何がちがうんだろう?
人間にとってうれしい結果になったら「発酵(はっこう)」。
人間にとってこまる結果になったら「腐る」。
つまり、おこっていることは同じで、名前だけが人間の都合で分かれているんだ。菌からしてみれば、どっちも「ごはんを食べてふえただけ」。ちょっとおもしろいでしょう?
だから「菌=悪者」ではないんだ。おなかの調子をととのえてくれる菌(乳酸菌など)もいるし、私たちの体の中にもたくさんの菌がすんでいるよ。
腐ったものを食べると、どうなるの?
腐ったものを食べちゃうと、おなかが痛くなったり、吐いてしまったり、ひどいときは病院に行かなきゃいけないこともあるよ。
そして、ここはとっても大事なところ。
おなかをこわす菌は、見た目やにおいでは分からないことが多い。
「見た目は平気そうだから大丈夫」は、じつは通用しないんだ。だから、
- ちょっとでも「変かも?」と思ったら、食べずにおうちの人に見せる
- カビが生えたパンは、カビの部分をとっても食べない(見えないところにカビの根がのびているから)
- 「もったいない」より「あぶなくない」を先に考える
食べ物を腐らせないためにできること!
さっきの「菌がふえるのに必要な3つ」を思い出してね。やることは全部、そのどれかをジャマする作戦になっているよ。
| やること | なぜ大事? | どれをジャマしてる? |
|---|---|---|
| 手を洗う | 菌が食べ物につくのをふせげる | そもそも菌を近づけない |
| 冷蔵庫に入れる | 菌がふえるスピードをおそくできる | ③あたたかさ |
| 冷凍する | 菌の活動がほとんど止まる(死ぬわけではない) | ③あたたかさ |
| はやめに食べる | 菌がふえる前に食べられるから安全! | ふえる時間をあたえない |
| 火を通す | 熱で菌をやっつけられる! | 菌そのものを減らす |
| かわかす・塩をふる | 菌が使える水がなくなる | ②水 |
冷蔵庫がなかった時代、人はどうしてたの?
冷蔵庫が家にあるのが当たり前になったのは、じつはここ60〜70年くらいのこと。それまでの何千年ものあいだ、人は「菌をふやさない工夫」を自分たちで考えてきたんだ。
- 干す——水をなくす作戦。干物、切り干し大根、するめ
- 塩や砂糖をたっぷり使う——食べ物の中の水を外に引っぱり出して、菌が使えなくする。塩ざけ、梅干し、ジャム
- お酢につける——菌が苦手なすっぱい環境にする。ピクルス、しめさば
- けむりでいぶす——けむりの成分と乾燥のダブル作戦。ベーコン、かつおぶし
- 先に「いい菌」をふやす——場所を先取りして悪い菌が入るすきをなくす。みそ、ぬか漬け、ヨーグルト
すごいのは、昔の人は「菌」という存在をまだ知らなかったということ。顕微鏡で菌が見つかるずっと前から、やってみてうまくいった方法を、何百年もかけて受けついできたんだ。
おうちの冷蔵庫にある梅干しやおみそは、そういう長い工夫の結果なんだね。昔の人の暮らしについては縄文時代の記事や江戸時代の記事でも紹介しているよ。
「賞味期限」と「消費期限」はちがうもの
食べ物のふくろに書いてある日付、じつは2種類あるって知ってた?
| 意味 | ついている食べ物 | |
|---|---|---|
| 消費期限 | 安全に食べられる期限。過ぎたら食べないほうがいい | お弁当、生のお肉・お魚、サンドイッチなど傷みやすいもの |
| 賞味期限 | おいしく食べられる期限。過ぎてすぐ危険になるわけではない | おかし、カップめん、かんづめなど日もちするもの |
どちらも「ふくろを開けていない状態で、書いてあるとおりに保存したとき」の日付だよ。開けたあとは、日付に関係なくはやめに食べようね。
やってみよう!食パンのカビ実験(自由研究にも)
「菌がふえる3つの条件」がほんとうかどうか、おうちでたしかめられるよ。用意するのは食パン1枚とチャックつきのふくろ4つだけ。
- 食パンを4つに切る
- A:そのままふくろに入れて、部屋に置く
- B:そのままふくろに入れて、冷蔵庫に入れる(=あたたかさをうばう)
- C:カリカリに焼いてふくろに入れて、部屋に置く(=水をうばう)
- D:手でペタペタさわってからふくろに入れて、部屋に置く(=菌をたくさんつける)
- 毎日1回、ふくろの外から写真をとって記録する(1週間くらい)
どれがいちばん早くカビたかな? 予想を先に書いてから始めると、りっぱな研究になるよ。
【やるときの約束】ふくろはぜったいに開けないこと。カビは吸いこむと体によくないから、観察はふくろの外からだけ。終わったら開けずにそのまま捨ててね。ぜんそくやアレルギーがある人はこの実験はやめておこう。
ほかの自由研究のアイデアは1日で終わる自由研究ネタ12選にまとめてあるよ。
まとめ|食べ物を大事にすることは、体を大事にすること!
- 食べ物が腐るのは、目に見えない菌がふえるから
- 菌がふえるには栄養・水・あたたかさの3つが必要。どれか1つをうばえば腐りにくくなる
- 「腐る」と「発酵」は同じこと。人間にとって得か損かで名前が変わるだけ
- おなかをこわす菌は見た目やにおいでは分からない。あやしいと思ったら食べない
- 昔の人は菌を知らないまま、干す・塩・酢・けむり・発酵で食べ物を守ってきた
最後にひとこと
ごはんを作ってくれた人、育ててくれた人にも「ありがとう」って言いたいね!
食べ物をたいせつにするって、命をたいせつにするってことなんだよ🌱
おうちの方へ
子どもに「どうして腐るの?」と聞かれたとき、「菌がふえるから」で終わらせず、「菌がふえるには栄養・水・温度の3つがいる」まで伝えると、そこから先を子ども自身で考えられるようになります。「じゃあ冷蔵庫はどれをジャマしてるの?」「梅干しは?」と、質問が続いていきます。
実用面でおさえておきたいのは次の3つです。
- 食中毒菌は五感で判別できない——「においを嗅いで確認」は安全確認になりません。迷ったら処分が原則です
- 冷凍は殺菌ではない——菌は活動を止めるだけで、解凍すればまた増え始めます。再冷凍は避けましょう
- やわらかい食品のカビは全体を処分——見えている部分は氷山の一角で、内部に菌糸がのびています
ほかの「子供に教えたい」話はまとめ記事からどうぞ。
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