2学期が始まると、すぐにやってくるのが運動会の練習です。子どもが「かけっこで1番になりたい」と言い出したり、逆に「走るの嫌だ」と落ち込んだり。親のほうも、場所取りやお弁当、ビデオ撮影と、当日までに考えることがたくさんあります。
この記事では、短期間でも変えられる「速く走るコツ」と、当日の親の準備をまとめました。走るのが苦手な子への声かけについても触れます。
かけっこは「才能」より「走り方」で変わる
足の速さは生まれつき、と思われがちですが、小学生の場合はそうとも限りません。ほとんどの子は「走り方」を教わったことがないからです。
体育の授業でも、走り方そのものを細かく習う機会は多くありません。つまり、ちょっとしたコツを知るだけで順位が変わる余地が残っているということです。
今日からできる、速く走る5つのコツ
① スタートは「前に倒れる」
短距離でいちばん差がつくのがスタートです。多くの子は、合図と同時に上体を起こしてしまいます。
正しくは、体を前に傾けたまま数歩進むのがコツ。「倒れそうになるのを足で受け止める」感覚です。家の廊下や公園で「立ったまま前に倒れて、倒れる直前に走り出す」練習をすると、体が覚えます。
② 腕は「後ろに引く」
「腕を振って」と言うと、多くの子は前にばかり振ります。実際に推進力になるのは、ひじを後ろに引く動きのほうです。
「ひじで後ろの人をつつくイメージ」と伝えると、子どもにも伝わりやすくなります。腕が後ろに引ければ、反対側の足が自然に前に出ます。
③ ゴールは「5m先」に設定する
子どもはゴールライン手前で減速しがちです。「ゴールの5m先まで走り抜ける」と決めておくだけで、最後まで速度が落ちません。抜かれるのは、たいていこの最後の数メートルです。
④ 前を見る
横の子が気になって視線が泳ぐと、体も流れます。ゴールの一点だけを見ると、まっすぐ走れて速くなります。「よそ見をしない」ではなく「あそこの旗を見て走る」と具体的に指定するのがコツです。
⑤ 靴のサイズと靴ひもを見直す
意外な盲点がこれです。大きすぎる靴、ゆるい靴ひもは、それだけで走りにくくなります。足が中で滑って力が地面に伝わりません。
運動会前に、サイズが合っているか・ひもがしっかり締まっているかを確認してください。1週間前に新品を買うのは避けましょう。靴ずれのリスクがあるので、履き慣らす時間が必要です。
走るのが苦手な子への声かけ
順位がつく競技である以上、後ろになる子は必ずいます。そして本人が一番それを分かっています。
| 避けたい言葉 | 言い換え |
|---|---|
| 「がんばれば1番になれるよ」 | 「去年より速くなってるよ」 |
| 「◯◯くんは速いのにね」 | 「最後まで全力だったね」 |
| 「もっと練習しないから」 | 「スタートが上手だったよ」 |
ポイントは、他人との比較ではなく、その子の中の変化を見つけて言葉にすることです。結果ではなく行動をほめる考え方はピグマリオン効果の記事でも解説しています。
また、運動会そのものが苦手で行きたがらない子もいます。大勢の視線や大きな音が負担になるタイプの子には、無理に盛り上げるより、「終わったら好きなことをして休もう」と回復の見通しを伝えるほうが効きます(HSCの記事)。行き渋りが続く場合はこちらの記事もどうぞ。
当日の親の準備リスト
持ち物
- レジャーシート(下に敷く段ボールがあると座り心地が段違い)
- 折りたたみイス(校庭が土だとお尻が痛くなります)
- 日よけ(帽子・日傘可否は要確認)と多めの飲み物
- モバイルバッテリー(撮影で電池はすぐ減ります)
- ゴミ袋、ウェットティッシュ、絆創膏
9月の運動会は「暑さ対策」が最優先
近年は9月でも真夏並みの気温になります。子どもは大人より地面に近く、照り返しの影響を強く受けます。
前日から水分をとっておく、当日は塩分も一緒に補給する、休憩時に日陰へ入れる——このあたりを意識してください。熱中症は「足が痛い」など意外な形で出ることもあります(熱中症のサインの記事)。
お弁当は「傷みにくさ」優先で
気温が高い時期なので、見た目より安全第一です。
- しっかり火を通し、完全に冷ましてからふたを閉める
- 生野菜・半熟卵・マヨネーズ和えは避ける
- 保冷剤と保冷バッグを必ず使い、日陰に置く
なぜ食べ物が傷むのかの仕組みは食べ物はなぜ腐るの?で解説しています。お弁当作りの負担を減らす工夫は学童のお弁当の記事もどうぞ。
撮影で失敗しないコツ
- プログラムに出番と場所を書き込んでおく——「何番目・どの位置」が分かるだけで、探す時間がなくなります
- 目印を決めておく——同じ体操服の中から探すのは大変。靴下や髪ゴムの色を覚えておく
- 1種目は撮らずに見る——画面ごしではなく、直接見た記憶も残しておきたいところです
よくある質問
Q. 練習は何をすればいい?
長い距離を走り込む必要はありません。スタートの姿勢と腕の引き方だけを、公園で数回——それで十分変わります。やりすぎると本番前に疲れが残るので、直前の追い込みは逆効果です。
Q. 場所取りは何時から?
学校のルールによって大きく違います。前日からの場所取りを禁止している学校、抽選制の学校、保護者席が指定の学校もあるので、まずは学校からのお便りを確認してください。
Q. 祖父母を呼んでもいい?
参観人数に制限がある学校もあります。事前に確認を。暑い時期なので、高齢の方こそ日陰と椅子の確保を優先してあげてください。
まとめ
- 速く走るコツは①前に倒れてスタート ②ひじを後ろへ ③ゴールの5m先まで ④前を見る ⑤靴を見直す
- 苦手な子には他人ではなく去年の本人と比べる声かけを
- 9月の運動会は暑さ対策が最優先。お弁当は見た目より傷みにくさ
- 撮影はプログラムに出番と位置を書き込むのが最強の準備
順位はその日で終わりますが、「最後まで走りきった」経験は残ります。ゴールしたあとに何と声をかけるか——たぶん、そこがいちばん大事な準備です。

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