ドイツが「13歳未満はSNS禁止」へ

子供に教えたい

2026年10月、「ドイツが13歳未満の子どものSNSを原則禁止へ」というニュースが流れました。

「SNSって、そんなに子どもに悪いの?」。ニュースを見て、少しドキッとした人も多いのではないでしょうか。

一方で、スマホを渡せば子どもが静かになる。仕事帰りのスーパーやレジの列で、正直それに助けられている。そんな毎日も、きっとありますよね。

この記事は、そんな親を責めるためのものではありません。ドイツが禁止を決めた理由と、今日から無理なくできることをまとめました。

先に結論です。

  • ドイツは2026年10月14日、13歳未満のSNSを原則禁止する方針を決めた(始まるのは2027年以降の予定)
  • 理由は、SNSが子どもの脳や心に影響しやすいのに、守るしくみが足りないから
  • 家庭でできるいちばん身近な対策は、小さいころの「動画との付き合い方」

※2026年10月時点の報道をもとにしています。

ドイツは何を決めたの?

年齢ドイツの方針(2027年以降)
13歳未満原則として使えない(子ども向けの安全なサービスは例外)
13歳〜18歳未満年齢に合わせて、使える範囲が少しずつ広がる
年齢の確認政府が用意するスマホの身分証アプリで確かめる

今回は政府が「この方向で進める」と決めた段階(閣議決定)で、法律ができたわけではありません。

どうしてドイツは禁止にするの?

ひとことで言うと、SNSには子どもに危ないものが多いのに、守るしくみが足りていないからです。

  1. 危ないものが勝手に流れてくる:うそのニュース、AIで作ったにせの画像、暴力や大人向けの動画
  2. やめにくく作られている:終わりのないスクロールや通知で、つい見続けてしまう
  3. 「13歳以上」のルールが守られていない:生年月日を自分で入力するだけなので、小学生でも登録できる
  4. 会社や家庭だけでは守りきれない:SNSの会社・親・学校が役割を分けて、社会全体で守る必要がある

目指しているのは、子どもを「締め出す」ことではなく「守る」こと。13歳を過ぎたら少しずつ使える範囲を広げていく、自転車の補助輪を外していくようなイメージです。

SNSは子どもの脳と性格にどう影響するの?

大人でも、気づけば30分スマホを見ていた…ということがありますよね。子どもの脳は「がまんする力」がまだ育っている途中なので、その影響を大人よりも強く受けます。

脳への影響

  • 「いいね」で脳のごほうび回路が反応する
    おいしいものを食べたときと同じ場所が働くので、もっと欲しくなってやめられなくなる(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
  • 人の反応に、脳が敏感になっていく
    12歳ごろからSNSをひんぱんに見ていた子は、3年で「どう思われるか」に脳が強く反応するように変わった(ノースカロライナ大学)
  • 脳の育ちがゆっくりになるおそれ
    インターネットをほぼ毎日使う子は、3年間の脳の発達や言葉の力の伸びが小さかった(東北大学、5〜18歳の224人)

性格への影響

  • 人の目が気になりやすくなる:「いいね」の数で自分の価値をはかるくせがつく
  • 周りに流されやすくなる:「いいね」が多い写真ほど、危ない行動の写真でも自分も押しやすい(実験の結果)
  • 集中が続きにくくなる:スマホなどをひんぱんに使う10代ほど、あとから「集中できない」症状が少し出やすい

※研究の多くは「関係がある」とわかった段階で、SNSが原因だと決まったわけではありません。

世界ではどうなっている?

国・地域内容状況
オーストラリア16歳未満は禁止2025年12月に開始
EU13歳未満は禁止、自分のアカウントは15歳から2026年9月に法案を発表
フランス15歳未満は禁止法律は通ったが、違憲と判断され見送り
ドイツ13歳未満は禁止2027年以降に開始予定

先に始めたオーストラリアでも、12〜15歳の約61%がまだSNSを使い続けていると報告されています。禁止するだけでは守りきれないのです。

SNSの前に気をつけたい「動画の見せっぱなし」

疲れて帰った夕方、ぐずる子にスマホを渡して、やっとほっとひと息。罪悪感を感じながらも、そうするしかない日がありますよね。それは、がんばっている親なら当たり前のことです。

ただ、動画アプリもSNSと同じく終わりなく次が流れてくる「やめにくいしくみ」でできています。知っておきたいのは、次の2つです。

  • 泣いたら動画、が続くと「自分で落ち着く力」が育ちにくい
    3〜5歳の422人を調べた研究では、ぐずったときに動画で落ち着かせることが多い子ほど、そのあとも気持ちが爆発しやすい傾向がありました(ミシガン大学)。動画は気持ちをそらすだけで、落ち着く方法は教えてくれないからです。
  • 小さいころの長時間の動画は、言葉の育ちにも関係する
    約7,000組の親子を調べた研究では、1歳で1日4時間以上画面を見ていた子は、2歳と4歳で言葉や考える力の発達がゆっくりな子が多くなっていました(東北大学ほか)。

アメリカの小児科学会は、2〜5歳の画面の時間を1日1時間くらいまでにするよう勧めています。

動画の代わりに、どうすればいい?|「楽」と引きかえに減っている力

動画は、忙しい親を本当に助けてくれる道具です。ただ、動画を見ているあいだに、子どもが本当なら練習できていたはずの力があります。

場面減ってしまうチャンス代わりにできること
レストランの待ち時間待つ力しりとり、紙ナプキンにお絵かき
ぐずって泣いたとき気持ちを落ち着ける力「くやしかったね」と気持ちを言葉にする、抱っこ
車や電車での移動話す力・聞く力窓の外の実況、なぞなぞ
スーパーでの買い物周りを見る力・考える力「牛乳をかごに入れて」とお手伝い係に(小3なら合計の計算も)
家で「ひま」と言われたとき自分で遊びを作る力紙やブロックなど「材料」だけ渡して少し待つ

いちばん効くのは「おしゃべりのやりとり」

マサチューセッツ工科大学の研究では、4〜6歳の子の脳で言葉を担当する場所がよく働いていたのは、聞いた言葉の数よりも、大人との「やりとり」の回数が多い子でした。動画は話しかけてはくれても、子どもの返事を待ってはくれません。「なんでだと思う?」と聞いて、答えを待つ。その往復が力を育てます。

かばんに「動画なしセット」を

  • 年長さん:小さいお絵かき帳とペン、シール、薄い絵本1冊
  • 小学生:なぞなぞ、「食べ物しばり」のしりとり、値札を使った計算ゲーム

動画を見せるときは、「この1本が終わったらおしまい」と先に約束してから渡すと、取り上げるときのぶつかりが減ります。

全部やめなくていい。まずは「1日1場面」だけ

頭ではわかっていても、仕事と家事に追われる毎日で、全部の場面で動画をやめるのは無理ですよね。「今日はスーパーだけは動画なし」くらいで十分です。疲れている日は、動画に頼ってかまいません。

親が少しだけ手間をかけた時間は、子どもにとって「待てた」「落ち着けた」「自分で遊べた」という小さな成功体験になります。その積み重ねが、いつかSNSと向き合うときの自分でブレーキをかける力になるのです。

時間のルールの決め方は子どものゲーム時間のルール、スマホを持たせる時期は小学生のスマホはいつから?も参考にしてください。

まとめ

  • ドイツは13歳未満のSNSを原則禁止へ。理由は、危ないものが多く、やめにくく作られ、年齢確認も甘いから
  • SNSは脳のごほうび回路や、人の目を気にする心に影響するという研究がある
  • SNSの前に動画の「見せっぱなし」に注意。泣いたら動画が続くと、自分で落ち着く力が育ちにくい
  • 代わりは「おしゃべりのやりとり」と「動画なしセット」。まずは1日1場面から

完ぺきな親でなくて大丈夫です。動画に助けてもらう日があっても、今日ひとつだけ「おしゃべり」に変えられたら、それで十分な一歩です。

参考にした情報

  • NHK・共同通信・ANN(2026年6月・10月)ドイツの専門家委員会の提言と閣議決定に関する報道
  • 時事通信(2026年8月・9月)フランスの違憲判断、EU「子供法案」に関する報道
  • Sherman ほか(2016)「いいね」と10代の脳の反応、心理科学誌
  • Maza ほか(2023)SNSのチェック習慣と思春期の脳の発達、米国医師会小児科誌
  • 東北大学 加齢医学研究所 インターネット利用と子どもの脳発達に関する研究
  • Ra ほか(2018)デジタルメディア利用と注意・多動の症状、米国医師会誌
  • Radesky ほか(2022)動画で子どもを落ち着かせることと感情の反応、米国医師会小児科誌
  • Takahashi ほか(2023)1歳時の画面の時間と2歳・4歳の発達、米国医師会小児科誌
  • 米国小児科学会(2016)子どものメディア利用に関する声明
  • Romeo ほか(2018)大人との会話のやりとりと子どもの脳の言葉の働き、心理科学誌

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