「本を読まなくて困っている」という悩みは、よく聞きます。でもその逆——「読みすぎて困っている」という悩みは、なかなか人に言えません。
言ったところで「いいことじゃない」「ぜいたくな悩みだね」で終わってしまうからです。
でも実際に育てていると、これがなかなか大変です。ごはんに来ない。声が届かない。消灯後も読んでいる。そして「読書はいいこと」なので、叱るのも気が引ける。
この記事では、読書好きの子を育てている家の「あるある」を15個並べたあと、どれは対応したほうがよくて、どれは放っておいていいのかを整理します。
読書好きの子あるある15選【チェックリスト】
当てはまるものに印をつけてみてください。
生活が止まる系
- ☐ 何度呼んでもごはんに来ない
- ☐ 「片付けて」と言うと一度は立ち上がるが、数分後にまた読んでいる
- ☐ 出かける5分前に読み始める
- ☐ 消灯後、布団の中や廊下の明かりで読んでいる
- ☐ お風呂やトイレに持ち込み、本がふやけて戻ってくる
ちょっと危ない系
- ☐ 歩きながら読む(何度言ってもやる)
- ☐ 車や電車の中でずっと読んで、酔う
- ☐ 暗い部屋で、顔を近づけて読んでいる
スケールが大きい系
- ☐ 図書館で借りた10冊を、3日で読み終える
- ☐ 本の置き場所が、もう家にない
- ☐ 買い物に行くと、本のコーナーから動かない
- ☐ 同じ本を、何十回も読み返している
親としては複雑系
- ☐ 会話に出てくるのが、本で読んだ話ばかり
- ☐ 宿題より本が先になる
- ☐ 「本を取り上げる」が、最大の罰として機能してしまう
当てはまった数の目安
| 数 | 見方 |
|---|---|
| 0〜4個 | ふつうに本が好きな子。困りごとは限定的です |
| 5〜9個 | しっかり読書好き。生活との線引きを決めておくと回りやすくなります |
| 10個以上 | 本気の読書家。この記事の後半がそのまま役に立つはずです |
「読みすぎて困る」が相談しにくい理由
この悩みの厄介なところは、困っているのに、困っていると言いにくいことです。
「本ばかり読んでいて困る」と言えば、たいてい「読書はいいことじゃない」と返ってきます。実際にいいことなので、言い返せません。
その結果、こうなります。
- 叱るべきか迷って、対応が毎回ぶれる
- 「本のことで怒る自分」に罪悪感を持つ
- 我慢して溜め込み、あるとき爆発する
ここで大事なのは、次の切り分けです。
困っているのは「読書」ではなく、「読書と生活の順番」です。
読書そのものを減らす必要はありません。
そう考えると、対応すべきものと放っておいていいものが、はっきり分かれます。
対応したほうがいい3つ
15個のうち、手を入れる価値があるのはこの3つだけです。
①歩きながら読む(安全の問題)
ここは譲れない線です。本に集中している子は、まわりの音も本当に聞こえていません。車の音も、自転車のベルも届きません。
効くのは「危ないからやめて」ではなく、物理的に読めない状態にすることです。外に出るときは本をかばんの奥に入れる、そもそも持って出ない。ルールは「歩くときは読まない」ではなく「外では本はかばんの中」のほうが守られます。
②消灯後の読書(睡眠の問題)
本人は「もう少し」と思っていますが、睡眠が削られると翌日の集中力に直接影響します。ここも線を引きたいところです。
おすすめは「就寝時刻」ではなく「読書の終わり」を決めるやり方です。
- 「9時に寝る」ではなく「8時40分から布団で読書、9時に本を閉じる」
- 本は寝室に置かず、リビングの決まった場所に戻してから寝室へ
読書を取り上げるのではなく、読書を寝る前の楽しみとして枠に入れるのがポイントです。
③暗い場所・近すぎる距離(目の問題)
近視の進行には、近くを見続ける時間と外にいる時間の短さが関わるとされています。読書好きの子は、どうしてもこの両方が積み上がります。
家でできることは3つです。
- 本は30cm以上離す(ひじから指先くらい)
- 部屋の照明と手元の明かり、両方つける——手元だけ明るいと目が疲れます
- 20分読んだら20秒、窓の外を見る
学校の視力検査で紙をもらったときの動き方は子どもの視力低下の記事にまとめています。
放っておいていい5つ
逆に、心配しなくていいものもあります。
| 気になる行動 | 放っておいていい理由 |
|---|---|
| 同じ本を何十回も読む | くり返し読むほど、細部や表現に気づけるようになります。飽きたら自然に次へ行きます |
| ジャンルが偏っている | 偏りは「好き」がはっきりしている証拠。深く入った子は、広げるときも一気に広がります |
| マンガや図鑑ばかり | 文字を追う力も、知識も育ちます。「読書=物語」と限定する必要はありません |
| 会話が本の話ばかり | 知ったことを話したい時期です。聞いてもらえた経験が、話す力になります |
| 読むのが速すぎて雑に見える | 速く読める子は、必要なところで自然に速度を落としています |
ここに口を出すと、「読書は注意される行為」という記憶がつくられてしまいます。安全と睡眠と目だけ守れば、あとは好きに読ませてかまいません。
絶対にやらないほうがいいこと
本を取り上げて罰にすること。これだけは避けたいところです。
読書好きの子にとって、本を取られるのは最も効く罰です。だからこそ、つい使ってしまいます。実際、言えば一発で効きます。
でもその代わりに、「本=取り上げられるもの」「読書=怒られたときに関係するもの」という結びつきができていきます。せっかく育った「好き」に、わざわざ嫌な記憶をくっつける形になります。
取り上げる代わりに、順番を変えるだけにしてください。「読書禁止」ではなく「宿題のあとに読書」。禁止ではなく後回しなら、好きな気持ちは傷つきません。
生活を回すための小さな工夫
- 声だけで呼ばない——没頭中は届きません。近づいて、視界に入って、肩に触れてから話す
- 「あと5分」ではなく「その章まで」——話の途中で切られると抵抗します。区切りで終われば納得できます
- 本を閉じさせてから、次の指示を出す——開いたままだと必ず戻ります
- 順番を固定する——「宿題→片付け→あとは好きなだけ読書」。禁止ではなく順番にするのが肝心です
- 置き場所を決める——「読み終わった本はここ」が決まっていると、片付けの争いが減ります
この考え方をもっと詳しく知りたい方は「好きなことしかしない」子は大丈夫?で、没頭と切り替えの関係を解説しています。
よくある質問
Q. 本代と置き場所が限界です
図書館を主軸にするのが現実的です。「借りる本」と「買う本」を分けて、何度も読み返したものだけ買う形にすると、本棚も家計も落ち着きます。返却期限が「読み終わりの区切り」にもなります。
Q. 読書ばかりで、運動も外遊びもしません
目のためにも、外の時間はあったほうがいいところです。ただし「読書をやめて外へ」と交換条件にすると反発します。公園に本を持っていくくらいの妥協案から始めると、外にいる時間は確保できます。
Q. 読書感想文は得意になりますか?
意外と別の技術です。たくさん読める子でも、感想を文章にするのは苦手ということはよくあります。書き方のコツは読書感想文の書き方の記事にまとめています。
Q. 学校でも本ばかりで、友達と遊ばないようです
休み時間に読書を選ぶ子は珍しくありません。本人が困っていないなら、ひとりの時間が好きというだけのことが多いです。友達の数について気になる場合は友だちは何人まで作れる?もどうぞ。
まとめ
- 「読みすぎて困る」は言いにくいけれど、立派な悩み
- 困っているのは読書ではなく読書と生活の順番
- 対応する価値があるのは①歩きながら ②消灯後 ③暗い場所・近すぎる距離の3つだけ
- 同じ本のくり返し・ジャンルの偏り・マンガ・本の話ばかりは放っておいていい
- 本を罰に取り上げない。禁止ではなく順番を後ろにするだけ
ごはんに来ない、消灯後も読んでいる——毎日やられると、正直うんざりします。
でも、あとから振り返ったときに「あの子、本当に本が好きだったな」と思い出せるのは、けっこう幸せなことだと思います。安全と睡眠と目だけ守って、あとは思いきり読ませてあげてください。

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