育休中は収入が下がる一方で、赤ちゃんを迎えるための出費は増えていきます。ただ、国や自治体には「申請すれば受け取れるお金」「払わなくてよくなるお金」がいくつも用意されています。問題は、その多くが自動ではもらえず、自分で申請しないと受け取れないことです。
この記事では、育休中に「もらえるお金」と「払わなくてよくなるお金」を一覧で整理し、それぞれの仕組み・金額の目安・申請の流れを解説します。制度は改正されることがあるため、最終的な金額や条件は、勤務先・ハローワーク・お住まいの自治体の最新情報で確認してください。
育休中のお金は「もらえる」「免除される」の2種類で考える
育休中に家計を支える制度は、大きく次の2つに分けられます。この区別を押さえておくと、何を申請すべきかが見えやすくなります。
- もらえるお金(給付):育児休業給付金、児童手当、自治体の給付金など、受け取れるお金
- 払わなくてよくなるお金(免除):社会保険料の免除など、本来の支出が減る制度
逆に、育休中でも支払いが続くお金(住民税など)もあります。ここを知らないと「免除されると思っていたのに請求が来た」と慌てることになるため、後半で解説します。
【もらえるお金①】育児休業給付金
育休中の収入の柱となるのが、雇用保険から支給される育児休業給付金です。会社員・契約社員などで雇用保険に加入していることが主な条件です(自営業や雇用保険未加入の場合は対象外)。
支給される金額の目安
給付率は、育休に入ってからの期間で変わります。
| 期間 | 給付率 | イメージ(休業前の月給25万円の場合) |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日(約6か月) | 休業前賃金の67% | 月およそ16.7万円 |
| 181日目以降 | 休業前賃金の50% | 月およそ12.5万円 |
ポイントは次の3つです。
- 非課税:所得税・住民税はかかりません。額面はそのまま受け取れます。
- 社会保険料も免除(後述):差し引かれないため、手取りで見ると割合以上に目減りが小さく感じられます。
- 上限・下限がある:給付額には上限が設けられているため、月給が高い人ほど割合は実質下がります。
受け取れるのは申請後で、初回の入金までに時間がかかる点には注意が必要です。家計の立て直し方は「育休中にお金がない…が不安なあなたへ。収入の仕組みと家計の立て直し方」でくわしく解説しています。
2025年に新設された「出生後休業支援給付金」
2025年4月から、子の出生後の一定期間に両親がともに育休を取得するなどの要件を満たすと、最大28日間、給付率が上乗せされる制度が始まりました。育児休業給付金(67%)と合わせて給付率が引き上げられ、社会保険料免除・非課税とあわせると、その期間の手取りはおおむね休業前と同水準になるよう設計されています。
要件や対象期間は細かく定められているため、利用を検討する場合は勤務先またはハローワークで最新の条件を確認してください。
【もらえるお金②】児童手当
子どもが生まれたら申請できるのが児童手当です。2024年10月の制度拡充で所得制限が撤廃され、対象も広がりました。
- 0歳〜3歳未満:月額1万5,000円
- 3歳〜高校生年代まで:月額1万円(第3子以降は増額)
注意したいのは、出生届を出しただけでは支給されない点です。お住まいの自治体への申請が別途必要で、原則として申請した月の翌月分から支給されます。出生から日が空くほど受け取れる月が減るため、出生届と合わせて早めに手続きするのが安心です。金額の一覧や振込スケジュール、第3子のカウント方法は「児童手当はいくら?いつ振り込み?【2026年版】」でくわしくまとめています。
【もらえるお金③】出産にまつわる給付(出産育児一時金・出産手当金)
育休に入る前後で受け取れるお金もあります。混同しやすいので整理します。
| 制度 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 出産費用の補助として1児につき50万円。多くは医療機関へ直接支払われる「直接支払制度」を利用。 | 健康保険の加入者・被扶養者 |
| 出産手当金 | 産前産後休業中の収入を補う給付。標準報酬日額のおよそ3分の2。 | 勤務先の健康保険に加入している本人(国民健康保険は対象外) |
出産手当金は「産休中」、育児休業給付金は「育休中」と、対象となる期間が異なります。続けて受け取れるケースが多いので、勤務先に申請の流れを確認しておきましょう。
【もらえるお金④】自治体独自の給付金
国の制度とは別に、自治体が独自に用意しているお金もあります。代表的なのが、妊娠届と出生届のタイミングで受け取れる出産・子育て応援の給付(合計10万円相当)です。金額や受け取り方(現金・電子クーポンなど)は自治体によって異なります。
このほか、紙おむつの支給、医療費助成、家事・育児のサポート券など、自治体ごとに支援メニューはさまざまです。「(お住まいの市区町村名)+出産 給付」で検索するか、母子保健窓口で確認すると、見落としを防げます。
【免除されるお金】社会保険料の免除
育休中は、申請により健康保険料・厚生年金保険料が、本人負担分・会社負担分ともに免除されます。これが家計に与える効果は大きく、給付金が非課税であることと合わせて、手取りの目減りを抑えてくれます。
- 免除されても将来の年金額は減りません(保険料を納めたものとして扱われます)。
- 賞与にかかる保険料も、一定の条件を満たせば免除の対象になります。
- 免除には条件(育休の取得時期や日数など)があるため、勤務先を通じて手続きします。
【支払いが続くお金】住民税は免除されないので注意
見落とされやすいのが住民税です。住民税は「前年の所得」をもとに計算されるため、育休で収入が下がっても、前年に働いていた分の住民税は支払う必要があります。給付金が非課税でも、住民税の請求は別で届く——これが「思ったよりお金が残らない」と感じる大きな原因のひとつです。
会社員の場合、給与天引き(特別徴収)から自分で納める方式(普通徴収)に切り替わり、まとまった納付書が届くことがあります。家計が苦しい場合は、自治体によって減免や分割納付の相談ができることもあるため、早めに窓口に問い合わせてみてください。
制度だけで足りないと感じたら「収入を少し足す」選択肢も
もらえるお金を取りこぼさず、免除も活用したうえで、それでも「あと少し」と感じることはあります。その場合は、赤ちゃんのそばで隙間時間にできる小さな収入を足す方法もあります。スマホ1つ・無料・ノーリスクで始められる方法は、「育休中におすすめのアンケートモニター2選」でまとめています。
大きく稼ぐというより「毎月のおこづかいを自分で生み出す」イメージで、家計と気持ちの余裕につながります。
申請を取りこぼさないためのチェックリスト
最後に、育休前後で確認しておきたいお金・制度をまとめます。
- ☐ 育児休業給付金の申請(勤務先・ハローワーク)
- ☐ 出生後休業支援給付金の対象になるか確認
- ☐ 社会保険料の免除手続き(勤務先)
- ☐ 児童手当の申請(出生届とは別に自治体へ)
- ☐ 出産育児一時金・出産手当金の手続き
- ☐ 自治体独自の給付金(「市区町村名+出産 給付」で確認)
- ☐ 住民税の納付方法・減免相談の要否を確認
まとめ:知って・申請すれば、受け取れるお金がある
育休中のお金の制度は、種類が多く、しかも「申請しないともらえない」ものがほとんどです。だからこそ、何があるかを知っておくだけで、受け取れる金額に差が出ます。
まずは「もらえるお金」を取りこぼさず、「免除されるお金」を活用すること。そのうえで住民税のような支払いが続くお金を見込んでおけば、見通しが立てやすくなります。お金の不安そのものとの向き合い方は「育休中にお金がない…と感じるときの家計の整え方」もあわせてご覧ください。
※本記事は一般的な制度の解説です。金額・条件は改正や個々の状況によって異なります。最終的な判断は、勤務先・ハローワーク・お住まいの自治体・税務署などの最新情報でご確認ください。

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