最近、企業から大量の個人情報が流出したというニュースが、テレビやネットをにぎわせていますよね。
そんな中、警察官を名乗ってお金をだまし取る「ニセ警察詐欺」の被害が急増しています。名前や住所などの個人情報を使って、本物の警察かどうか見分けがつかないほど手口が巧妙になっているのです。
被害にあわないために、まずは詐欺のやり口を知っておきましょう。手口と見分け方、今日からできる対策をまとめました。
先に結論です。
- 本物の警察は、LINEなどのSNSに誘導しない・ビデオ通話で取り調べしない・お金を求めない
- 相手が名前や住所を知っていても、本物の証拠にはならない(名簿が出回っている)
- 「警察です」の電話はいったん切って、#9110か最寄りの警察署に自分でかけ直す
何が起きている?
ニセ警察詐欺とは、警察官になりすまして「捜査」「調査」を名目にお金をだまし取る詐欺です。
| 時期 | 件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| 2025年(1年間) | 11,014件 | 1,005億円 |
| 2026年1〜8月 | 6,346件 | 728.6億円(前年同期より27%増) |
件数は少し減っているのに、被害額は増えています。1件あたりの被害が大きくなっているのです。
オレオレ詐欺の7倍に
ニセ警察詐欺は、2025年までは「オレオレ詐欺」の一部として数えられていました。その時点で、すでにオレオレ詐欺の約75%をしめていたため、警察庁は2026年から独立した手口として集計しています。
| 2026年1〜7月 | 件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| ニセ警察詐欺 | 5,422件 | 617.1億円 |
| オレオレ詐欺 | 2,350件 | 84.2億円 |
被害額はオレオレ詐欺の約7倍。電話でだます詐欺の中で、いまいちばん被害が大きい手口です。
狙われているのは、子育て世代も
2025年のニセ警察詐欺の被害者は、30代が最多、次いで20代と報じられています。埼玉県警によると、被害のきっかけの約6割は携帯電話への電話。固定電話を持たない若い世代にも、スマホに直接かかってくるようになりました。
どんな手口?なぜ信じてしまう?
警察庁や各県警が公開している事例をもとに、犯人のシナリオを5つの場面に分けました。実際に使われたセリフも紹介します。
場面1:電話がかかってくる
入口は、おもに3パターンです。
- 警察署を名乗る電話:画面に実在する警察署の番号が表示されることもある(←これがやばい)
- 「+」で始まる国際電話:「+1」「+44」のほか、日本の番号に見える「+81」から始まることも
- 自動音声:「総務省です。2時間後にこの電話は使えなくなります。詳しくは1番を押してください」→1を押すと、電話会社の担当を名乗る人が出て「警察につなぎます」と交代する
場面2:「あなたが容疑者」と告げる
- 「あなた名義の口座が不正に開設され、資金洗浄(犯罪で得たお金の出どころを隠すこと)の事件に使われています」
- 「あなたも容疑者になっています。電話で取り調べを行います」
- 「疑うなら、ネットで私の名前を検索してください」(実在する警察官の名前をかたる)
ここであなたの名前・住所・生年月日を言い当てられると、「本物かも」と思ってしまいます。
場面3:LINE・ビデオ通話に移る
- 「ここからはLINEでやりとりします」と、SNSに誘導する
- ビデオ通話で、制服姿・警察署のような背景を見せ、ニセの警察手帳や逮捕状の画像を送ってくる
- 途中で「検察官」に交代することも。「大阪地検特捜部」を名乗り、画面越しに身分証らしきものを見せた事例もある
場面4:だれにも相談させない
- 「捜査の秘密なので、家族にも話さないでください」
- 「地元の警察に話すと、守秘義務違反で逮捕されます」
家族や本物の警察に相談されると、うそがばれてしまう。だから犯人は、あなたをひとりにしようとします。
場面5:お金を動かさせる
- 「口座の資金をすべて確認する必要があります」
- 「一度お金を全部振り込んでもらい、資金調査をします。無実がわかれば返します」
- 「送金しない場合は逮捕します」
お金の動かし方も、どんどん手が込んできています。
| 動かし方 | 中身 |
|---|---|
| 振り込み | 指定された口座へ振り込ませる |
| ネットバンキング | 新しくネット銀行の口座を開かせ、そこから送金させる |
| 暗号資産 | ネット銀行に移したお金で、暗号資産(仮想通貨)を買わせる |
| 金の延べ棒 | 店やネットで金を買わせ、郵送させる・自宅に取りに来る |
| 銀行への言い訳 | 窓口で理由を聞かれたときのために、ニセの見積書を見せるよう指示する |
なぜ名前や住所を知っている?企業からの流出が相次いでいる
ニュースで「個人情報が流出」という言葉を聞かない月はありません。ここ1年ほどでも、ハッカーによる攻撃で、身近な企業から大量の個人情報が流出しています。
| 公表 | 企業・サービス | 件数 | 流出した主な情報 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月 | アサヒグループ | 約191万件(流出のおそれ) | 氏名・住所・電話番号など |
| 2026年9月 | タイムズカー | 約660万件 | 氏名・住所・生年月日・電話番号・運転免許の情報など |
| 2026年10月 | 焼肉きんぐ(公式アプリ) | 約1,078万件 | 氏名・電話番号・メールアドレスなど |
これらの情報が詐欺に使われたことは、今のところ確認されていません。でも、一度流出した情報は、取り戻すことができません。名前・住所・電話番号は、ニセ警察が「本物らしく見せる」ために使う情報そのものです。
実際に詐欺グループは名簿を持っていて、愛知県警は押収した名簿に名前があった人へ、注意の電話をかけています。「自分の情報はもう知られているかもしれない」という前提で身構えておくことが大切です。
信じてしまう3つの仕掛け
| 仕掛け | 中身 |
|---|---|
| ① 個人情報を知っている | 名前・住所・生年月日などを先に言ってくる。「知っている=本物」ではない |
| ② 電話番号が本物に見える | 実在する警察署の番号を画面に表示させる手口も確認されています |
| ③ 見た目が本物っぽい | 制服、警察署のような背景、ニセの警察手帳・逮捕状。警視庁などの偽サイトまで作られています |
「名前を知っているから本物だろう」「番号が警察署だから大丈夫」。そう思わせることが、犯人の狙いです。
最近の新しい手口
LINEを使わず、偽サイト上でビデオ通話をする手口も出てきました。サイトで「取り調べ」を演出し、ニセの逮捕状を見せたり、口座の情報を入力させたりします。
本物の警察がしないこと
ひとつでも当てはまったら、ニセ警察です。
- ☐ 「+」で始まる国際電話でかけてくる
- ☐ 電話で取り調べをする
- ☐ LINEなどのSNSで連絡してくる
- ☐ SNSやビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せる・送ってくる
- ☐ ビデオ通話で取り調べをする
- ☐ 「調査」「無実の証明」のためにお金の振り込みを求める
- ☐ キャッシュカードを預かる
- ☐ 「家族にも話すな」「地元の警察に話すな」と言う
- ☐ 「ネットで私の名前を検索して」と言う
「警察です」と電話が来たら
- その場で電話を切る(「あとでかけ直します」でOK)
- 警察相談専用電話「#9110」か、自分で調べた最寄りの警察署の番号にかけて確認する。着信履歴から折り返さない
- 家族に話す。「家族に言うな」と言われたら、それ自体が詐欺のサイン
今日からできる対策
スマホ
- 「+1」「+44」など「+」で始まる国際電話には出ない
- 電話帳に登録していない番号には、すぐ出ない
- 折り返す前に、番号をネットで検索してみる
- 自動音声の電話は、1を押さずに切る
おすすめは無料アプリ「電話帳ナビ」
知らない番号から電話が来たとき、出る前に「だれからか」がわかると安心です。そこでおすすめなのが、無料のアプリ「電話帳ナビ」です。
- 電話帳に登録していない番号でも、着信時に相手の名前や「迷惑電話」などの情報を表示してくれる
- ほかの利用者の口コミから、「詐欺だった」「営業電話」などがわかる
- iPhoneでもAndroidでも使える
iPhoneは、インストールしたあと「設定」→「アプリ」→「電話」→「着信拒否設定と着信ID」で電話帳ナビをオンにすると、着信画面に表示されるようになります。
このほか、警察庁がすすめる無料アプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」「詐欺バスター Lite」もあります。実家の親のスマホにも、一緒に入れておくと安心です。
実家の固定電話
- いつも留守番電話にしておく
- 海外からの電話を止める「国際電話の利用休止」を申し込む(無料)
家族で決めておくこと
いちばん効くのは、「警察やお金の話の電話が来たら、必ず家族に話す」というルールです。夫婦で、そして実家の親とも共有しておきましょう。犯人は「家族に話すな」と言ってきます。先に約束しておけば、それがブレーキになります。
もし振り込んでしまったら
- すぐに振込先の金融機関と警察に連絡する。早いほど、口座を止めてもらえる可能性がある
- LINEのやりとりや着信履歴は消さずに残しておく
まとめ
- 何が起きている?:ニセ警察詐欺の被害は2026年8月までで728.6億円。オレオレ詐欺の約7倍で、30代・20代も狙われている
- どんな手口?:電話・自動音声→「あなたが容疑者」→LINEのビデオ通話でニセの逮捕状→口止め→「資金調査」で振り込み・暗号資産・金。名前・住所を知っていて、番号も警察署に見せかける
- 見分け方は?:本物の警察は、SNSで連絡しない・ビデオ通話で取り調べしない・お金を求めない
- 対策は?:電話を切って#9110へ。国際電話に出ない。「電話帳ナビ」などのアプリを入れる。「必ず家族に話す」を約束しておく
「自分はだまされない」と思っている人ほど、名前を言い当てられると動揺します。今夜、家族で「警察から電話が来たらどうする?」を話しておいて対策をしておきませんか?詐欺被害はいつ誰があうか分かりませんからね!皆さん気をつけましょう!
※警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」、同「令和8年7月末・8月末の特殊詐欺の認知・検挙状況等(暫定値)」の報道、警察庁の注意喚起(2026年6月5日)、埼玉県警察「ニセ警察詐欺に注意!!」、各社報道によります。2026年の数字は暫定値です。
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