「時短勤務にしたら給料が減るから、フルタイムで頑張るしかない」
そう思って無理をしている人は少なくありません。でも実は、2025年から、時短勤務で減った給料を補う給付金が始まっています。ほかにも、子どもの年齢に応じて使える制度がここ1〜2年で大きく変わりました。
問題は、こうした制度の多くが「申請しないともらえない」「会社から積極的に案内されない」ことです。この記事では、共働き家庭が見落としがちな給付金と制度を、子どもの年齢別に整理します。
まず、うちの子の年齢で使える制度チェック
当てはまる年齢のところを見てください。
0〜2歳の子がいる
- ☐ 出生後休業支援給付金——夫婦とも育休を取ると、手取りが実質10割に
- ☐ 育児時短就業給付金——時短勤務の給料の10%を支給
- ☐ 3歳未満のテレワーク——会社の努力義務に
3歳〜小学校入学前の子がいる
- ☐ 残業免除——小学校入学前まで請求できるように
- ☐ 柔軟な働き方の措置——2025年10月から、会社が2つ以上用意する義務
小学生(3年生まで)の子がいる
- ☐ 子の看護等休暇——小3修了まで、学級閉鎖や入学式でも使えるように
ここからは、それぞれの中身を順番に解説します。
育児時短就業給付金:時短勤務の給料を補う
育児時短就業給付金とは、2歳未満の子を育てるために時短勤務をしている人に、時短中の給料の10%を支給する制度です。2025年4月に始まりました。雇用保険から支給されます。
いくらもらえる?
計算はシンプルで、時短勤務中の給料 × 10%です。
| 時短前の月給 | 6時間勤務にした場合の月給 | 給付金(月) | 1年間で |
|---|---|---|---|
| 24万円 | 18万円 | 1万8,000円 | 約21万円 |
| 30万円 | 22万5,000円 | 2万2,500円 | 約27万円 |
| 36万円 | 27万円 | 2万7,000円 | 約32万円 |
※8時間勤務から6時間勤務(給料が75%になる)に短縮した場合の概算です。
しかもこの給付金は非課税です。税金がかからないので、受け取った額がそのまま手元に残ります。
対象になる人
- 2歳未満の子を育てるために、1週間の所定労働時間を短くして働いている
- 雇用保険に入っている(パート・契約社員でも、加入していれば対象)
- 育休から引き続いて時短勤務を始めた、または時短開始前の2年間に雇用保険の加入期間が12か月以上ある
パパ・ママどちらでも、両方が時短勤務をしていれば両方がもらえます。
注意点
- 時短後の給料が、時短前の90%を超えると、支給率が下がるよう調整されます(給料と給付金の合計が、時短前の給料を超えない仕組み)
- 子が2歳になる前日の月までで終わります
- 給料が一定額以上の月は支給されないなど、上限があります(上限額は毎年8月に改定)
- 申請期限があります。初回は、最初の支給対象月の初日から4か月以内。会社を通じてハローワークに申請するのが一般的です
最後の点がとくに大事です。会社が手続きを知らず、案内されないまま期限が過ぎるケースが起こりえます。時短勤務を始めるときは、人事に「育児時短就業給付金の申請をお願いしたい」と自分から伝えてください。
出生後休業支援給付金:夫婦で育休を取ると手取り10割
2025年4月に始まった、出産直後の育休に上乗せされる給付金です。
- 子の出生後の一定期間(父は出生後8週間以内、母は産後休業後8週間以内)に、夫婦それぞれが14日以上育休を取る
- 通常の育児休業給付金(67%)に13%が上乗せされ、最大28日間、給付率80%に
- 育休中は社会保険料が免除され、給付金も非課税なので、手取りは実質10割相当
「夫が育休を取ると収入が減る」という理由でためらっていた家庭にとって、大きな変化です。配偶者が自営業の場合など、夫婦両方が育休を取らなくても対象になる例外もあります。育休中のお金の全体像は育休中にもらえるお金・使える制度の完全ガイドで詳しく解説しています。
⚠️ 育休の延長は審査が厳しくなった
2025年4月から、「保育園に入れなかった」ことを理由に育休を延長する場合の確認が厳しくなりました。ハローワークで、速やかに職場復帰するために保育園に申し込んだのかが確認されます。
申込書の写しなどの提出が求められ、入園する意思がないのに申し込んだと判断されると、延長が認められないことがあります。保活の進め方は保活はいつから?の記事にまとめています。
3歳〜入学前:会社に「柔軟な働き方」の用意が義務に
ここはいちばん知られていない変化かもしれません。2025年10月から、3歳から小学校入学前の子を育てている人について、会社は次の5つのうち2つ以上を用意する義務を負いました。
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| ①始業時刻の変更 | フレックスタイム、時差出勤など |
| ②テレワーク | 月10日以上利用できる |
| ③保育施設 | 会社が保育施設を用意・費用を補助 |
| ④新たな休暇 | 年10日以上の「養育両立支援休暇」 |
| ⑤短時間勤務 | 1日6時間の時短勤務 |
働く側は、会社が用意したものの中から1つを選んで使えます。会社には、対象になる社員に個別に知らせる義務もあります。
これまで「3歳を過ぎたら時短勤務は終わり」という会社が多く、年少〜年長の時期に働き方の選択肢が急になくなるのが問題でした。年長の子がいるなら、今まさに使える制度です。会社が何を用意しているか、一度確認してみてください。
残業免除も小学校入学前まで
2025年4月から、残業の免除を請求できる期間が「3歳未満」から「小学校入学前」まで延びました。会社は、事業の運営に支障がある場合を除き、断れません。
小学生:子の看護等休暇が小3まで
小学生の子がいる家庭に関係するのがこれです。2025年4月から「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に変わり、中身が大きく広がりました。
| 改正前 | 2025年4月から | |
|---|---|---|
| 対象の子 | 小学校入学前まで | 小学3年生の終わりまで |
| 使える理由 | 病気・けが・予防接種・健診 | +学級閉鎖、入園式・入学式・卒園式 |
| 日数 | 子1人なら年5日、2人以上なら年10日(変わらず) | |
インフルエンザなどの学級閉鎖で子どもが急に家にいることになったときに使えるのは、共働き家庭にとって大きな変化です。詳しくは学級閉鎖で仕事を休めないときの記事にまとめています。
ひとつ注意点があります。法律では、看護等休暇を有給にすることまでは義務になっていません。有給か無給かは会社の規定次第なので、就業規則で確認しておくと安心です。
見落とさないための3つのポイント
- 自分から人事に聞く——会社が制度改正に追いついていないことがあります。「〇〇の制度は使えますか」と具体的な名前で聞くのがコツです
- 申請期限をメモする——給付金には期限があります。とくに育児時短就業給付金の初回申請(4か月以内)は要注意です
- 夫婦で両方確認する——制度の多くはパパも対象です。片方だけが使っているなら、もう片方の会社でも使えないか確認を
よくある質問
Q. パートでも対象になりますか?
給付金(育児時短就業給付金・出生後休業支援給付金)は雇用保険に加入していれば対象です。週20時間以上働いているなど、加入条件を満たしているか確認してください。休暇や働き方の制度も、雇用形態にかかわらず使えるものが多くあります。
Q. 会社に制度がないと言われました
この記事で紹介したものの多くは法律で定められた制度で、会社の規定に書かれていなくても使えるものがあります。困ったときは、都道府県の労働局(雇用環境・均等部)に相談できます。
Q. 小4以降は何もないの?
法律上の看護等休暇は小3までですが、会社独自に対象を広げているところもあります。学童が終わる小4前後の働き方は小4の壁の記事、小1の壁で働き方を見直すときは小1の壁の働き方の記事をどうぞ。
Q. 給付金のほかに、家計で見直せることは?
児童手当(児童手当の記事)を生活費と分けて貯めるだけでも、まとまった教育資金になります。毎月の支出を下げる順番は固定費見直しの完全ロードマップにまとめました。
まとめ
- 育児時短就業給付金:2歳未満の子のための時短勤務で、給料の10%を非課税で支給。申請は初回4か月以内
- 出生後休業支援給付金:夫婦それぞれ14日以上の育休で手取り実質10割(最大28日間)
- 3歳〜入学前:2025年10月から、会社に柔軟な働き方を2つ以上用意する義務。残業免除も入学前まで
- 小学生:子の看護等休暇が小3まで、学級閉鎖や入学式でも使える(有給かは会社次第)
- 多くは申請しないと使えない。自分から人事に具体名で聞く
制度は、知っている人だけが使えます。「時短にしたら給料が減るから」「休むと迷惑だから」とあきらめる前に、今の子どもの年齢で使えるものがないか、一度だけでも確認してみてください。
※この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。制度の内容・金額・要件は変更される場合があります。具体的な対象や手続きは、勤務先の人事担当、ハローワーク、厚生労働省の最新情報をご確認ください。

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