朝、子どもの体が熱い。熱を測ると38℃。その瞬間に頭に浮かぶのは、子どもの心配と同じくらい「今日の仕事、どうしよう」ではないでしょうか。
共働きの家庭では、子どもの発熱で仕事を休むたびに「また休みます、と言うのが気まずい」と感じる人は少なくありません。さらにきょうだいがいると、上の子が治ったころに下の子がうつって、休みが長引くこともよくあります。
気まずさの大きな原因は、「いつ戻れるか分からないまま休むこと」です。何日休むかを自分で数えて職場に見通しを伝えられれば、休む側も受け止める側もずっと楽になります。この記事では、登園・登校できる日の数え方、職場への連絡の例文、きょうだいにうつるときの備え、看護休暇の使い方、休めない日の選択肢を順番に解説します。
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何日休む?まず「登園・登校できる日」を数える
仕事を何日休むかは、子どもがいつから園や学校に行けるかで決まります。ここは病気の種類によって考え方が2つに分かれます。
ふつうの風邪・発熱のとき:熱が下がって「24時間」が目安
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、次のような場合は登園を控えるのが望ましいとされています。
- 朝から37.5℃を超える熱があって、元気や機嫌がない
- 24時間以内に解熱剤を使っている
- 24時間以内に38℃以上の熱が出ている
つまり、解熱剤を使わずに熱が下がり、そこから丸1日(24時間)たって元気があることがひとつの目安です。夕方に熱が下がった場合、翌朝すぐではなく、もう1日様子を見ることになるケースが多くなります。
なお、熱の数値はあくまで目安で、ふだんの平熱によって個別に判断するとされています。小学校には風邪で休む日数の決まりはないので、熱の下がり方と本人の元気さを見て判断します。最終的な基準は、通っている園・学校の決まりを確認してください。
インフルエンザなど「出席停止」がある病気:日数が法律で決まっている
インフルエンザや新型コロナなど一部の感染症は、学校保健安全法施行規則で「出席停止」の期間が決められています。保育園・幼稚園も同じ考え方で登園のめやすを示しています。
| 病気 | 登園・登校できるまでの期間 |
|---|---|
| インフルエンザ | 発症した後5日を経過し、かつ熱が下がった後2日(幼児は3日)を経過するまで |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽くなった後1日を経過するまで |
| 水ぼうそう(水痘) | すべての発しんがかさぶたになるまで |
| おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) | はれが出た後5日を経過し、かつ全身の状態がよくなるまで |
| プール熱(咽頭結膜熱) | 主な症状が消えた後2日を経過するまで |
| 溶連菌感染症・手足口病・感染性胃腸炎など | 決まった日数はなく、医師が「感染のおそれがない」と判断するまで |
※最終的な判断は学校長・園と医師が行います。最新の基準は、通っている園・学校の案内で確認してください。
インフルエンザの日数の数え方(例)
数え方のポイントは、発症した日・熱が下がった日は「0日目」で、その翌日が「1日目」になることです。また「熱が下がった」は、解熱剤を使わずに下がった状態を指します。
たとえば、月曜に熱が出て、水曜に下がった場合はこうなります。
| 曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 発症から | 0日目(発熱) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 |
| 解熱から | − | − | 0日目(解熱) | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 |
| 小学生 | 出席停止 | ○ | |||||
| 幼児(年長など) | 出席停止 | ○ | |||||
「発症後5日」は土曜まで、「解熱後2日(幼児は3日)」は金曜(幼児は土曜)までなので、両方を満たすのは日曜からです。つまり月曜に発熱したら、登園・登校は早くても翌週の月曜。インフルエンザなら、平日5日間は休む見込みと考えておくと、職場への見通しが立てやすくなります。熱がなかなか下がらない場合は、そのぶん後ろにずれます。
園や学校に出す書類も先に確認しておく
保育園では、病気によって医師が書く「意見書」が必要なもの(インフルエンザ、新型コロナ、水ぼうそう、おたふくかぜなど)と、医師の診断を受けたうえで保護者が書く「登園届」でよいもの(溶連菌感染症、手足口病、感染性胃腸炎など)があります。どの書類が必要かは園や自治体によって違うので、元気なうちに確認しておくと、治りかけの日に病院へ行き直す手間が省けます。
職場への連絡で「気まずさ」を減らす4つのコツ
休むこと自体は、子どもが小さいうちは避けられません。気まずさを減らすカギは、受け取る側が「調整しやすい」連絡にすることです。
- 第一報は「早く・短く」:病名が分かる前でも、まず休むことを始業前に伝えます。くわしい事情より、早さのほうが職場は助かります
- 診断が出たら「いつまで」を伝える:上の数え方で戻れる日を計算し、「最短で◯日から出勤できる見込みです」と伝えます。見通しがあるだけで、周りは仕事の割り振りを考えられます
- 延びそうなら先回りする:きょうだいにうつる可能性があるときは、その可能性も最初に伝えておきます。あとから何度も延長の連絡をするより、受け止める側の負担が小さくなります
- 戻ったら、お礼は短く・謝りすぎない:「ありがとうございました、助かりました」で十分です。謝り続けるより、感謝を伝えて仕事で返すほうが、お互いに気持ちよく続けられます
そのまま使える連絡の例文
① 当日の朝(第一報)
おはようございます。子どもが38℃の熱を出したため、本日はお休みをいただけますでしょうか。午前中に受診し、結果が分かりしだい改めてご連絡します。本日予定していた◯◯の件は、◯◯さんにお願いできるよう引き継ぎメモを共有フォルダに入れてあります。
② 診断が出たあと(見通しを伝える)
受診の結果、インフルエンザと診断されました。登園の基準から、最短で◯月◯日(◯)から出勤できる見込みです。熱の下がり方によっては1〜2日延びる可能性があります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
③ きょうだいにうつったとき(延長の連絡)
上の子は回復したのですが、下の子にも同じ症状が出てしまいました。お休みを◯日まで延長させてください。最短で◯月◯日(◯)から出勤できる見込みです。在宅でできる作業があれば、対応できるものは進めます。
④ 復帰した日
お休みの間、対応していただきありがとうございました。おかげさまで子どもも元気になりました。引き継いでいただいた分は、今日から引き取ります。
姉妹(きょうだい)で順番にうつるときの備え
きょうだいがいると、家の中で完全にうつらないようにするのは難しいものです。だからこそ、「うつるかもしれない」前提で予定を組んでおくと、慌てずにすみます。手がかりになるのが、感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)です。
| 病気 | うつってから症状が出るまで(潜伏期間の目安) |
|---|---|
| 感染性胃腸炎(ノロウイルス) | 12〜48時間 |
| インフルエンザ | 1〜4日 |
| 新型コロナウイルス感染症 | 約3日(中央値) |
| 溶連菌感染症 | 2〜5日 |
| 手足口病 | 3〜6日 |
| RSウイルス感染症 | 4〜6日 |
| プール熱(咽頭結膜熱) | 2〜14日 |
| 水ぼうそう(水痘) | 14〜16日 |
| おたふくかぜ | 16〜18日 |
※こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」より。期間は目安です。
たとえばインフルエンザなら、上の子の発症から1〜4日のうちに下の子が発症する可能性があります。上の子が回復して自分が出勤し始めたころに、ちょうど下の子の休みが重なる——という流れはここから起こります。最初の連絡の時点で「下の子にうつった場合は延びる可能性があります」とひと言添えておくと、延長の連絡がぐっとしやすくなります。
家の中でうつりにくくする工夫
- タオル・コップ・食器は分ける:洗面所のタオルは共用をやめ、ペーパータオルにするのも手です
- 寝る部屋や距離を分ける:難しければ、顔が近づかない向きで寝るだけでも違います
- こまめに換気し、乾燥を防ぐ:冬は特に部屋が乾燥しやすいので、加湿も意識します
- 家族全員で手洗い:看病する大人の手が、うつす経路になりやすいからです
- 嘔吐や下痢のときは処理のしかたに注意:ノロウイルスにはアルコールが効きにくく、塩素系の消毒が必要です。手順は感染性胃腸炎の家庭内対策にまとめています
「子の看護等休暇」を知っておくと、休みやすくなる
子どもの病気で休むときは、年次有給休暇とは別に「子の看護等休暇」が使えます。育児・介護休業法で決められた休暇で、2025年4月から使える範囲が広がりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる子ども | 小学3年生の修了まで(2025年3月までは小学校入学前まで) |
| 日数 | 1年度に子ども1人なら5日、2人以上なら10日 |
| 取り方 | 1日単位のほか、時間単位でも取れる |
| 使える理由 | 病気・けがの看病、予防接種・健康診断、感染症による学級閉鎖、入園(入学)式・卒園式 |
| 働き始めてすぐの人 | 勤続6か月未満でも取れる(労使協定で除外できるのは、週の所定労働日数が2日以下の人だけ) |
※厚生労働省「子の看護等休暇」より。
知っておきたいポイントが3つあります。
- 有給か無給かは会社によって違う:法律では給料の扱いまでは決まっていません。就業規則で確認しておきましょう。無給の場合でも、有給休暇を温存できるメリットがあります
- 取ったことを理由に不利益な扱いをすることは、法律で禁止されています。休むこと自体に、引け目を感じすぎなくて大丈夫です
- 子どもの看病で休んでも、国からの手当は出ません:健康保険の傷病手当金は、働く本人の病気やけがが対象です。だからこそ、有給休暇と看護休暇を計画的に使うことが大切です
なお、きょうだいが小3と年長なら、今は2人とも対象で年10日使えます。ただし上の子は小学4年生になると対象から外れるので、来年度は日数の見通しが変わる点も覚えておきましょう。学級閉鎖のときの使い方は学級閉鎖で仕事を休めない…2025年からは「子の看護等休暇」が使えますでくわしく解説しています。
どうしても休めない日の選択肢
「結局いつも自分が休んでいる」という家庭こそ、平時のうちに頼れる先をひとつ作っておくと、本当に休めない日に追い詰められずにすみます。
- パートナーと半日ずつ交代する:看護休暇は時間単位でも取れるので、「午前は自分、午後はパートナー」という分け方ができます
- 在宅勤務・時差出勤:会社の制度があれば、看病しながら一部の仕事を進められます
- 病児保育:病気の子どもを専門のスタッフが預かる施設です。事前登録が必要なところが多く、当日の朝に予約が埋まりやすいので、元気なうちに登録だけ済ませておくのがおすすめです。対象年齢や料金は自治体によって違います
- ファミリー・サポート・センター:地域の会員が子どもを預かる仕組みです。病気の子を預かってもらえるかは自治体によって違うので、事前に確認が必要です
- 祖父母・ベビーシッター:シッターも、病気の子に対応できるかどうかは事業者によって違います
子どもの発熱に備えるチェックリスト【10項目】
熱が出てから調べるのは大変です。元気なうちに、次の項目を確認してみてください。
- ☐ 会社の看護休暇の日数と、有給か無給かを確認した
- ☐ 看護休暇を時間単位で取れるか確認した
- ☐ 園・学校の登園(登校)の目安を確認した
- ☐ 病気ごとに必要な書類(意見書・登園届)を確認した
- ☐ かかりつけの小児科の診療時間と予約方法を控えた
- ☐ 病児保育に事前登録した
- ☐ ファミリー・サポート・センターなど、頼れる先の連絡先を控えた
- ☐ パートナーと「どちらが休むか」の決め方を話し合った
- ☐ 急に休んでも困らないよう、仕事の引き継ぎメモを用意している
- ☐ 休む連絡の例文をスマホに保存した
当てはまった数の目安
| 当てはまった数 | 目安 |
|---|---|
| 0〜3個 | 熱が出るたびに一から調べる状態。まずは看護休暇の確認と、病児保育の登録の2つから始めましょう |
| 4〜7個 | 基本の備えはできています。足りない項目を埋めると、「休めない日」の不安が減ります |
| 8〜10個 | しっかり備えられています。年度が変わったら、看護休暇の日数や子どもの対象年齢を見直しましょう |
よくある質問(FAQ)
Q. 熱が下がったら、次の日すぐに登園してもいいですか?
A. 保育所のガイドラインでは、24時間以内に38℃以上の熱が出ている場合や、24時間以内に解熱剤を使っている場合は、登園を控えるのが望ましいとされています。熱が下がってから丸1日たって元気があるかが目安です。
Q. 解熱剤で熱が下がったときも「解熱」に数えますか?
A. インフルエンザの出席停止で使う「熱が下がった後」は、解熱剤を使わずに下がった状態を指します。薬で一時的に下がった日からは数えないので注意しましょう。
Q. 受診だけ付き添って、午後から出勤できますか?
A. 子の看護等休暇は時間単位でも取れるので、会社の制度上可能であれば、受診の時間だけ休むことができます。
Q. 上の子がインフルエンザのとき、元気な下の子は登園していいですか?
A. 症状がなければ登園できるのが一般的です。ただ、潜伏期間中に発症する可能性があるので、家族が感染症にかかっていることを園に伝えておくと安心です。園によって決まりがある場合はそれに従ってください。
Q. 何度も休んで、職場での評価が下がらないか心配です。
A. 看護休暇を取ったことを理由にした不利益な扱いは、法律で禁止されています。そのうえで、見通しを伝える連絡と、戻ったあとの短いお礼を心がけると、職場との信頼も保ちやすくなります。
まとめ:見通しを伝えられれば、休む気まずさは小さくなる
- ふつうの風邪は「解熱剤なしで熱が下がって24時間」が登園の目安
- インフルエンザは「発症後5日、かつ解熱後2日(幼児は3日)」。月曜に発熱なら、早くても翌週月曜から。発症日・解熱日は0日目と数える
- 職場には「早く・短く」連絡し、診断が出たら「いつまで」を伝える。きょうだいにうつる可能性も最初にひと言
- きょうだい感染は潜伏期間で予測できる(インフルエンザなら1〜4日)
- 子の看護等休暇は小3修了まで、子ども2人以上で年10日。時間単位でも取れる
子どもが熱を出すのは、誰のせいでもありません。休むことを申し訳なく思いすぎるより、見通しを数えて伝えることに力を使うほうが、自分も職場も楽になります。元気なうちにチェックリストを1つずつ埋めて、次の「38℃の朝」に備えておきましょう。

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