毎年11月ごろ、勤務先から配られる年末調整の書類。
「毎年なんとなく書いているけれど、実はよく分かっていない」という人は少なくありません。
特に子育て世帯では、「子どもの名前はどこに書くの?」「16歳未満は控除がないと聞いたけれど、書かなくていいの?」といった疑問がつまずきポイントになります。
この記事では、年末調整の仕組みから、子育て世帯が関係する控除、書類でつまずきやすい点、そして年末調整では処理できず確定申告が必要になるケースまで、順番に解説します。
年末調整とは?「払いすぎた税金の精算」
会社員の給与からは、毎月所得税が天引きされています。
しかしこの金額はあくまで概算で、正確な税額ではありません。
1年が終わって収入が確定し、さらに生命保険料を払った・配偶者の収入が少なかったといった個人の事情を反映させると、本来の税額が決まります。
この本来の税額と、すでに天引きされた額との差額を精算する手続きが年末調整です。
多くの場合は払いすぎていた分が戻ってくる(還付)ため、12月または1月の給与が少し増えます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10〜11月ごろ | 勤務先から書類が配布される |
| 11〜12月初旬 | 記入して、保険料控除証明書などを添えて提出 |
| 12月〜翌1月の給与 | 還付(または追徴)として精算される |
| 翌1月ごろ | 源泉徴収票を受け取る |
【最大のつまずき】16歳未満の子どもの書き方
子育て世帯がいちばん混乱するのがここです。結論から書きます。
16歳未満の子どもは「扶養控除」の対象外です。しかし、書類には記入する必要があります。
なぜ控除がないのか
かつては年少の子どもにも扶養控除がありました。しかし児童手当(子ども手当)制度の導入と引き換えに、16歳未満の扶養控除は廃止されました。
そのため、小学生や未就学児がいても、その分の所得税が安くなることはありません。
なぜ書く必要があるのか
所得税では控除されませんが、住民税の非課税限度額の判定には16歳未満の子どもの人数が使われます。
扶養している人数が多いほど、住民税がかからない収入のラインが上がる仕組みです。
そのため、扶養控除等申告書の下部にある「住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)」という欄に、子どもの氏名・生年月日・マイナンバーなどを記入します。
ここが空欄だと、住民税の計算で不利になる可能性があります。
「控除がないから書かなくていい」は誤りです。必ず記入しましょう。
16歳以上の子どもがいる場合
その年の12月31日時点で16歳以上の子どもは、扶養控除の対象になります。年齢によって控除額が変わり、19歳以上23歳未満は「特定扶養親族」として控除額が大きくなります。高校生・大学生のお子さんがいる場合は、記入もれがないか確認してください。
※控除額や年齢区分、様式は税制改正で変更されることがあります。その年の最新の内容は国税庁の資料または勤務先の案内でご確認ください。
子育て世帯が関係しやすい控除
年末調整で申告できる主な控除を整理します。当てはまるものがないか確認しましょう。
| 控除 | 内容 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 扶養控除 | 16歳以上の扶養親族がいる場合 | 申告書への記入 |
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | 配偶者の所得が一定以下の場合。パート収入がある場合はここ | 配偶者の収入見込額 |
| 生命保険料控除 | 生命保険・介護医療保険・個人年金の保険料 | 保険会社から届く控除証明書 |
| 地震保険料控除 | 地震保険の保険料 | 控除証明書 |
| 社会保険料控除 | 家族の国民年金保険料などを自分が払った場合 | 納付証明書 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金 | 国民年金基金連合会からの証明書 |
| 住宅ローン控除 | 2年目以降は年末調整で可能 | 控除証明書、残高証明書 |
especially見落とされやすいのがiDeCoの掛金と家族分の社会保険料です。証明書は秋ごろに郵送されてくるので、なくさないよう保管しておきましょう。
年末調整ではできない=確定申告が必要なケース
次の控除は年末調整では手続きできません。受けたい場合は、翌年に自分で確定申告をする必要があります。
- 医療費控除:1年間の医療費が一定額を超えた場合。子どもの歯科矯正や通院の交通費も対象になることがあります
- ふるさと納税:ワンストップ特例を申請していない場合、または寄付先が6自治体以上の場合
- 住宅ローン控除の1年目:初年度だけは確定申告が必要です(2年目以降は年末調整でOK)
- 寄付金控除:認定NPO法人などへの寄付
- 年の途中で退職して再就職していない場合
特にふるさと納税とワンストップ特例の関係は間違えやすいポイントです。
ワンストップ特例を申請していても、医療費控除などで確定申告をすると、その特例は無効になります。
この場合は、確定申告の中でふるさと納税の分もあわせて申告し直す必要があります。
提出前チェックリスト
- ☐ 16歳未満の子を「住民税に関する事項」欄に記入した
- ☐ 16歳以上の子を扶養控除の欄に記入した
- ☐ 配偶者の年間収入の見込み額を確認した
- ☐ 生命保険・地震保険の控除証明書を添付した
- ☐ iDeCoの掛金証明書を添付した(加入している場合)
- ☐ 家族分の国民年金・国民健康保険を払っていないか確認した
- ☐ 住宅ローン控除の書類を用意した(2年目以降)
- ☐ マイナンバーの記載要否を勤務先に確認した
- ☐ 医療費が多かった年は、確定申告の準備(領収書の整理)を始めた
よくある質問(FAQ)
Q. 産休・育休中でも年末調整は必要ですか?
A. その年に給与の支払いがあれば対象になります。なお出産手当金・育児休業給付金は非課税で所得に含まれないため、収入が下がった年は配偶者控除の対象になり、世帯の税負担が下がることがあります。忘れずに申告しましょう。
Q. 控除証明書をなくしてしまいました。
A. 保険会社やiDeCoの窓口に連絡すれば再発行できます。間に合わない場合は、翌年の確定申告で対応することも可能です。
Q. 共働きの場合、子どもはどちらの扶養に入れますか?
A. 16歳以上の子については、一般に所得が高いほうの扶養に入れたほうが節税効果が大きくなります。16歳未満については所得税の控除がないため、住民税の非課税判定の観点から判断が変わることがあります。
Q. 書き間違えたらどうなりますか?
A. 提出前なら勤務先に相談して訂正できます。提出後に誤りに気づいた場合も、翌年の確定申告で正しい内容に修正できます。
まとめ:まず「16歳未満の欄」を埋めることから
年末調整は、払いすぎた税金を取り戻すための手続きです。子育て世帯でいちばん多い誤りは、「16歳未満の子は控除がないから書かなくていい」と空欄にしてしまうこと。住民税の判定に使われるため、必ず記入してください。
そして、医療費が多かった年やふるさと納税をした年は、年末調整とは別に確定申告が必要になる場合があります。秋のうちに証明書と領収書を1か所にまとめておくと、11月の書類提出も、翌年の申告もぐっと楽になります。
※本記事は一般的な制度の解説です。控除額・様式・要件は税制改正により変更されます。最終的な判断は、国税庁の最新資料・勤務先・お住まいの税務署にご確認ください。
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